コイシヨウ (ページ9)

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モビールを引き取りにギャラリーに来ていると

「こんばんは…」

ｵｰﾅｰからは何度も来ている事は聞いていたけど、
その後一度も会わないままだった彼に会った

ワタシがモビール購入してた事は知らなかったみたいで、ちょっと驚いてた

キャンドル作家ですとお話しして
彼もキャンドル使ってますと言ってくれて

その後も、どんな香りが好きとか
アロマも興味あるみたいで
お勧めの香りの事とか

ワタシも、とたんに好きな分野になって饒舌になって
気付けば閉店時間までお話しに夢中になっていた

『やだ、ごめんなさい。
こんな時間になっちゃって！』

ｵｰﾅｰさんにも遅くまでごめんなさいと伝えると

ｵｰﾅｰ「全然。
Aさん、お仕事の事になると夢中になっちゃうものね。」

『すみません…』

彼にも無理矢理付き合わせてしまったのではと聞くと

康二「いやー、楽しかったっす。
知らない事とか教えて貰ったし。」

ニコニコ顔でそんなに爽やかに言って貰えて

康二「アトリエって近くって言ってましたけど、
どの辺なんすか？」

『あっ、えーと…』

いつもなんだけど、道をお伝えするのが本当に苦手…

みかねたｵｰﾅｰが

ｵｰﾅｰ「Aさん、お名刺持ってないの？」

『あっ、ありますあります』

がさごそとバックから名刺入れを探して

『失礼しました。
【c.candle】のAと申します』

アトリエの名称と場所のみが書かれている
ごくごくシンプルな名刺をお渡しする

康二「あっ、ありがとうございます。」

ペコリと頭を下げて両手できちんと受け取ってくれて

康二「あ、ホントですね。
こっからめっちゃ近いんや…」

裏面に書いてある地図を見て

康二「今度行ってもいーですか？
作品とかも見ていたいっす。」

『もちろんです』

女性のお客様が多いから男性にも興味を持って貰える
のが嬉しい

ｵｰﾅｰ「Aさん、この後アトリエ戻るんだったら
一緒に言ってみたら？」

『えっ！』

ｵｰﾅｰさん、何を言い出すんですかと言おうとしたら

康二「えっ！いーんすか！行ってみたい！」

何だか展開が早いんですけどって
思いながら彼をアトリエにご案内する事になった