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そんな出来事があった昨日。そして本当に灰谷蘭が弁当作ってきた今日。ついでに自分のも作ってきたともう一つ弁当箱を鞄の中から取り出す灰谷蘭に、自分の分ついでって言う人初めて見たと遠い目をした。
まさか本当に作ってくるとは思わなかった。じゃーん、という声と共に蓋を開けられた弁当の中にはクマの形に切られたチーズが乗ってるハンバーグとミニトマトが二つ。
ほうれん草とコーンとベーコンのバター炒めみたいなものが小さなカップに入れて入っていた。ちなみにハンバーグの底にはレタスを畳んで敷いてあるらしい。
灰谷蘭はさっき作って持ってきたから良い感じの熱さじゃない?と自慢げに話している。もう一つの器には海苔が巻かれていないおにぎりが三つ入っていた。まるで母親が子供の遠足の為に作るような中身に灰谷蘭が実は女なのではと脳内に浮かんできた。
「あー、あとデザート」
鞄の中から出てきたのはドーナツだった。しかも高級なとこの。Aちゃんこれ後で食べよーと笑いかけてくる彼に苦笑いを浮かべる。どこで私の名前を知ったのかすらも聞きたくないくらい昼食の時間だけで疲労が溜まった気がした。
彼を好いている女子達の鋭い視線と男子達と哀れむような視線が私の体に矢印となって突き刺さる。
廊下の男子が灰谷蘭に絡まれる私を見て胸ポケットから十字架を取り出し神に祈り出したのが見えてドン引くが、周りの視線よりも灰谷蘭の視線がすごく伝わってくるので渡された割り箸を持ってハンバーグを一口食べてみた。
「…美味しいっ!」
「良かったぁ。俺が作ったんだから美味くない訳がないけど」
灰谷蘭の言葉をスルーしてハンバーグをもう一切れ口の中に放り込む。食べた瞬間まだ熱いハンバーグから肉汁が広がりチーズと相性があってさらに美味しい。ご飯とデミグラスソースが美味しさを引き立てていて、ご飯とソースだけでもおかわりできそうなくらいだ。
美味しい美味しいとおにぎりを頬張りつつハンバーグを口に入れていると、こちらをジッと見つめてニヤついている灰谷蘭と目が合った。灰谷蘭は何を思ったのか自分の箸で私宛の弁当の中にあるミニトマトを掴み、私の口元に持ってくる。
これは所謂「アーン♡」という恋人同士の人が行うものなのではないだろうか。灰谷蘭とは昨日初めて話したばかりなのに距離の詰められ方が異常過ぎる。正直怖い。が、食べなければもっと怖い目に遭わされる事は分かっている。意を決してミニトマトに齧り付いた。
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koko0116(プロフ) - 違う作品の話になって申し訳ないのですが、大大大大大大大大大大大好きのパスワードを教えてください! (2022年5月18日 16時) (レス) id: e2066d5feb (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - はじめまして。きゅんな部分とギャグな部分が絶妙に組み込まれていて読んでいてとても楽しいです!続きを楽しみにしています☆ (2022年1月11日 16時) (レス) id: 0343b2f4d3 (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - コナミさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です!更新は遅れますが必ず致しますのでお待ち頂けると嬉しいです。 (2022年1月6日 17時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - 鼎さん» コメントありがとうございます。私自身ももう少し改行した方がいいと思っているのですが文字数に制限がありますので今よりも改行を増やすことが出来ないんです。これからは改行について考えて更新致します。意見ありがとうございました! (2022年1月6日 17時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
コナミ - めっちゃ面白かったです!続きが楽しみすぎてヤバイです❗ (2022年1月4日 0時) (レス) @page9 id: 8a999d1026 (このIDを非表示/違反報告)
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