少女漫画にハマった灰谷くん【灰谷蘭】

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そんな簡単に漫画が完成するとは思っていないが、もしもの可能性に賭けて蘭は放課後まで残ることにした。

とは言えまだ午前。何もすることがなく刺激なんて何一つないので退屈だと保健室のベッドの上で欠伸を漏らした。そう言えば自分はまだ前の席の奴の漫画しか読んだことがないが、他の少女漫画はどうなっているのだろうか。
やはり少女向けなので甘ったるい恋愛話だったり、アイドルとかモデルとかスクールカースト系の作品が多かったりするのだろうか。なんとなく他の少女漫画に興味を持ち、図書室に行くことにした。図書室に入れば図書の先生は居らず、ラッキーと思いながら本棚を順番に見ていく。

アニメ化された漫画の小説が置かれている直ぐ隣に、少女向けと書かれた本が置いてある事に気付いた。
手に取って中を見れば漫画で、本の裏表紙に書かれているあらすじを見ればモデルをやっていたヒロインがいじめのせいで転校して、転校初日にクールな不良に助けられたとか何とか書かれていた。

近くの椅子に腰を下ろして漫画を読み始めるが、どうもキラキラしていて読みづらい。まぁ内容は面白いのではないだろうか。
このヒロインはクールな不良と文化祭のための買い出し中にいじめっ子達と出会い嗤われるが彼に助けられて恋心を抱いたらしい。なかなかありそうでなさそうな話だがそれもそれで良いかもしれない。だが不良だと名乗るのなら女相手だろうと骨でも何でも折っちまえよとこの不良に苛ついた。

出来るだろ、だってお前不良なんだからよ。まさか女相手だから殴れないとか言う系の不良か？不良のヒロインに対する気持ちはまだ描かれてはいないが、これは恋愛モノなのだからこの男も密かにヒロインに恋心を抱いているだろう。

好きな女虐められて泣かされて馬鹿にされてんのにビビらせるだけとかつまらねーことするなぁと途中で読むのをやめた。そしてまた別の漫画を手に取り読み始める。そんな事を繰り返しているうちに昼休みが始まっていたのか廊下が騒がしい。

そういえば昼飯持って来んの忘れたなぁと考えていれば小さくお腹が鳴った。人間の身体は1日くらいご飯を抜いても生きていけるのだが、特に昼を食べておかないと辛いというのは何となく理解していた。
夜は食べなくても寝れば空腹は感じない。朝は気分が悪ければ食べなくたって昼まで大丈夫。でも昼は別だ。



「そこら辺の奴脅しても良いんだけどダルいしなぁ」

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