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「なぁ竜胆、今何時?」
「んー…もうすぐ18時になるけど」
「そっかぁ。…じゃ、行ってくるわ」
「は?何処に?」
「学校」


口を開いて固まる弟を置いてゆったりとした足取りで学校までの道を歩く。どれくらい進んでいるだろうかとか、話の続きはどうなったのかとか、そんな妄想を膨らませた。

教室についてすぐに自分の前の席の机の中を覗く。すると、この間漫画が入っていた袋とは別に同じサイズの少し薄めの封筒が一緒に入っていた。
薄い封筒を取り出せば、封筒の開け口は漫画が入っている方と同じ、ボタンに紐が括り付けられているもの。

もしかして、と急いで紐を解き中の物を取り出せば、数十枚程度だが原稿用紙が入っていた。一番最初の用紙には第九話と書かれた付箋が貼ってあり、無意識に口角が上がった。早速蘭は原稿用紙を読み始めた。



「…これって終わりどうなるんだろうなぁ?」


結構暗め、というより重めの話で、恋愛要素はヒロインの一方的な好意しかない。まぁそのヒロインの恋が叶うのかすらも今のところ怪しいが。
蘭はズボンのポケットから正方形の厚い付箋とボールペンを取り出す。実は学校に来る前にコンビニに寄って買ってきていた。

読み手がいると知れば作者が原稿用紙を家に持ち帰る可能性はあるけれど、もしかすると読み手の事を考えてたくさん描き進めてくれるかもしれないと思ったのだ。
まぁ、普通に感想を伝えるためでもあったが、どちらかというと蘭は早く続きが読みたいと作者を急かしていた。


『勝手ですが読ませていただきました。絵柄も描写も全てが好みです。とても面白くて続きが気になってます』


灰谷蘭という男を知る者ならこの文を見たら二度見するのではないだろうかというくらい丁寧な文をメモに書いた。自分で書いた文章に蘭自身も笑う。
けれど、もしこの感想を置いていってから描くペースが早くなれば自分も一週間なんて待たずに続きを読めるのだ。

漫画一話分がどれくらいのペースで完成するのかは知らないけれど、週刊誌は一週間で一話完成させられている。この感想を見た作者がどんな表情をするのか、作者の顔も知らないくせに想像しては笑った。

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muu(プロフ) - うちださん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。更新出来ず申し訳ないです。忙しさとこの先のストーリーが思い浮かばず止まってしまっていますのでもう少しお待ち頂けると嬉しいです。小説を沢山読むと文章の作りを理解できる様になりますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
うちだ - 続きを待たせていただきます!(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆文才を分けて欲しいです...! (2021年12月31日 14時) (レス) @page14 id: 58c5bf56bc (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます。更新遅れて申し訳ないです。好きと言っていただけて光栄です!ありがとうございます!頑張ります! (2021年12月25日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 語彙力なくて上手く伝えられないけどすごく好きです!頑張って下さい!応援してます!! (2021年12月25日 4時) (レス) @page10 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - みなみさん» コメントありがとうございます。気が向いたら書いてみます! (2021年12月20日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:muu | 作成日時:2021年12月17日 20時

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