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「こんなに近かったら燃えるだろ!」
「え、そうですか?」


初めて知ったという表情をする彼女に蘭は深く溜息を吐いた。まさかこんな事も知らないとは。本当に彼女があの漫画の作者なのだろうかという疑問が蘭の中で渦巻く。
彼女は椅子を二つ持ってきて、片方に蘭が座るように言った。お互いが椅子に座り、二人の間に気まずい空気が流れる。


「…なあ」
「は、はい!」
「お前、漫画描いてんの?」
「…そうです」


引きますよね、なんて自嘲するように笑う彼女に誰もそんなこと言ってないだろと強めに言う。確かにあの女達や周りの奴らは漫画を描いていることに引いていた。
でも、自分はあの漫画に惹かれたのだ。惹かれてなければ図書室に行くことなんてなかったし、そもそも学校なんて定期的に来ない。自分が好む漫画を馬鹿にされたことが蘭にとって非常に腹立たしかった。

そして、自分の描く作品を馬鹿にされているのに何も反抗的な態度を取らなかった彼女も腹立たしい。あの女達が最低なのは周りも知ってる。周りを味方につければ彼女はいじめられっ子という立場から抜け出せたかもしれないのに。


「何で反抗しなかったの?あんな奴ら、図星突かれたらすぐに黙るような連中なのに」
「わ、たしは……反抗したら、負けると思ったんです」
「負ける?」
「はい。あの人たちは自分が上の立ち位置にいると本気で信じています。だからこそ弱いものを虐める。でも、そう言う人達は大体心が弱いんです。グループでいる心地良さを知っているから、一人になることが怖い。
そんな人を私と同じような目に合わせたら、私もあの人たちと同じになります。下っ端でも良いです。人間以下のクズにならなければ、それで構いません」


確かにアイツらを同じ目に合わせたとしても、彼女がアイツらに虐められたという事実は消えない。だからこんなにも精神が強いんだなと納得する。蘭たち不良にも良心というものがある。
どんなにクズな性格でも、それが何かのため、誰かのために暴力を振るっているのならそれは一つの正義とも言える。蘭は愛しい弟のために自分の手を汚した。そして弟は蘭の為に。


「なるほどね、納得した」
「あ、ずっと聞こうと思ってたことがあるんですけど」
「なぁに?」
「いつも漫画に感想書いてくれてるの、三つ編みさんですよね?」

「……え?」

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muu(プロフ) - うちださん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。更新出来ず申し訳ないです。忙しさとこの先のストーリーが思い浮かばず止まってしまっていますのでもう少しお待ち頂けると嬉しいです。小説を沢山読むと文章の作りを理解できる様になりますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
うちだ - 続きを待たせていただきます!(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆文才を分けて欲しいです...! (2021年12月31日 14時) (レス) @page14 id: 58c5bf56bc (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます。更新遅れて申し訳ないです。好きと言っていただけて光栄です!ありがとうございます!頑張ります! (2021年12月25日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 語彙力なくて上手く伝えられないけどすごく好きです!頑張って下さい!応援してます!! (2021年12月25日 4時) (レス) @page10 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - みなみさん» コメントありがとうございます。気が向いたら書いてみます! (2021年12月20日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:muu | 作成日時:2021年12月17日 20時

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