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自分とお揃いの三つ編みのお下げは片方だけ解け、お茶をかけられていたせいで髪も服も濡れてしまっている。
彼女がつけていた眼鏡にもヒビが入っており、その姿に苛立ちが増した。腕に抱きつき自分の胸を押し付けてくる女を強く振り払う。
「えっ、ら、蘭?どうし、」
「誰、オマエ」
そう言われて困惑の表情を浮かべる女を無視し、原稿用紙を抱える彼女の両脇に手を差し込んで無理矢理立ち上がらせた。突然の事に驚いた顔をする彼女に久しぶり、と声をかければ大きく目を見開いて自分の顔を凝視してくる。漸く俺に気付いたのか図書室の、と小さな声で呟いた。
「寒いだろー?体操服かなんか持ってたら着替えてこいよ。ここは俺がどうにかしとくから」
「え、でも、」
「いーから、ほら」
戸惑う彼女の背中を押して教室から出そうとすれば、俺を疑うような目で見つつ教室から出て行った。一息吐いて、後ろにいる女三人を見れば肩をビクリと震わせた。原稿用紙を燃やした女に近付けば、一歩後退りされる。そんなにビビるんなら最初からやるなよ。
蘭は女に微笑みかけ、女に向けて腕を振り下ろした。骨が折れるような鈍い音と同時に女が地面に倒れ頬を押さえながら痛いよと泣き叫ぶ姿に、他二人や野次馬達は小さく悲鳴を出した。
「誰のお気に入りに手、出してんだよ」
「ごめ、ごめんなさっ、」
何度も謝る女に跨り頬を殴り付け、蘭の拳には女の血がベッタリとついていた。床にも血が飛び散っていて、どれくらい強く殴られたのかが一目で分かる。
女が気絶したのが分かり、ゆっくりと女から離れて先程自分の腕に絡み付いた女を見る。女は次が自分が殴られるのかと思ったけれど、蘭は面倒くさいと言うような、疲労を感じさせる大きな溜息を吐いた。
「デートしよう、身体の相性も良かった、だっけ?」
「えっ?う、うん。蘭も凄い気持ちいいって、」
「全然覚えてねーわ、お前のこと。つーかよく見るとあんまり可愛くねぇな」
「……は?」
化粧濃くて香水臭いの俺無理、と鼻を隠すようなポーズをする蘭に女は額に青筋を浮かべる。恐怖なんて何処かに行ってしまった。
今は目の前のこの男に怒りを感じてしょうがない。蘭を鋭く睨めば、可笑しそうにケラケラと笑われる。蘭はこの女の行動が可笑しくて笑いが止まらなかった。
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muu(プロフ) - うちださん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。更新出来ず申し訳ないです。忙しさとこの先のストーリーが思い浮かばず止まってしまっていますのでもう少しお待ち頂けると嬉しいです。小説を沢山読むと文章の作りを理解できる様になりますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
うちだ - 続きを待たせていただきます!(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆文才を分けて欲しいです...! (2021年12月31日 14時) (レス) @page14 id: 58c5bf56bc (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます。更新遅れて申し訳ないです。好きと言っていただけて光栄です!ありがとうございます!頑張ります! (2021年12月25日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 語彙力なくて上手く伝えられないけどすごく好きです!頑張って下さい!応援してます!! (2021年12月25日 4時) (レス) @page10 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
muu(プロフ) - みなみさん» コメントありがとうございます。気が向いたら書いてみます! (2021年12月20日 20時) (レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muu | 作成日時:2021年12月17日 20時