お前ら日常コントの神か【Fischer's】 (ページ13)

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出会いその7 ページ13

中2の夏休み前。

俺は、地域のゴロツキどもと頻繁に闘り合っていた。ふっかけてくるのは同じ学年のいじめっ子どもか後輩の俺にまで手を出してくる先輩たち。

どちらにせよ素行のよろしくない連中に絡まれることが多かった。

そして小学生の時から野生児と呼ばれていた俺は中学に上がっても負けん気が強く、売られた喧嘩は買います状態だった。

その日は一学期の終業式前日。

明日の校長の話寝そうだなぁとか呑気なことを考えていた俺の、開けた下駄箱から何かが落ちた。

「何これ。...えー『今日の4時に体育館裏に来い』...果たし状？」

少なくともラブレターではなさそうな紙を鞄にしまうと、昇降口にあった時計を確認する。

時刻は4時10分。既に10分遅刻していた。

「えーもう過ぎてんじゃん...あいつらこういう時だけ時間厳守だからめんどいんだよなぁ...」

厄介だとは思ったが、後から家に押しかけられるのも嫌だったので、暑さで溶けそうな身体を引きずって目的の場所へ向かった。

＊

「遅かったじゃねぇか」

「尻尾巻いて逃げたのかと思ったぜ｣

体育館裏に着くと10人くらいの男どもが待っていた。

どいつもこいつも気色悪い薄笑いを浮かべて、俺を甚振る気なのだということがありありと見てとれた。

「だーれが逃げるかよ。帰ろうとしたらこんなのが入ってた挙句に時間も過ぎてるし、暑いし溶けそうだしやってられねぇよマジ」

だからさっさと終わらそうぜ、と続けると、

「そうだな、さっさと終わらせるか。てめぇのその生意気な面潰してやる」

「やれるもんならやってみれば？」

「んじゃ、遠慮なくっ！」

俺に殴りかかってきた。うわぁ無粋ー。

「脇が甘い」

「ぐっ...っのやろ...！」

「1人相手に時間かかりすぎじゃね」

最初の1発で雑魚と分かったので、後は楽だった。

そのまま僅か15分で残りの奴らを倒すと、頬を伝う汗を拭う。

『え、何これ！もしかして君が1人でやった感じ？』

その場に不似合いな明るい声に振り向くと、1人の女子が立っていた。とりあえず『そいつ』に声をかける。

「...何？」

『特には何も。とりあえず保健室行きなよ』

「は？俺はケガとかは」

『いや、返り血がすごいから』

『そいつ』の言葉に自分の服を見ると、見事に真っ赤に染まっていた。

「わ、ほんとだ」

『分かったら早く行きなよ』

「ん、ありがとな」

これが、俺、シルクロードと『そいつ』＿＿＿茜との出会い。