お前ら日常コントの神か【Fischer's】 (ページ24)

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事件と過去その5 ページ24

モトキSide

俺は目の前の茜を睨み付けた。

でも、違和感を覚えた。

普段はほとんど外さない眼鏡も外してるし、髪の毛も下ろしている。

それに、何よりも雰囲気が全然違う。

茜はこんな冷徹な冷たい感じじゃなくてもっと...そう、優しく包み込んでくれるような、そんな感じだ。

じゃあ、目の前のこいつは一体...？

俺の考えていることを読んだかのように、そいつは口を開いた。

「あ、その顔はこいつ誰だとか思ってますね？安心してください、貴方がたFischer'sが大好きでたまらない茜ちゃんではないですから」

やっぱ声まで一緒だ...。

でもこいつは今「茜ではない」と言った。じゃあ、本当に誰なんだ...？

「な～んか無粋なこと考えてますね？そんなに睨んじゃって...今の自分の立場分かってます？貴方私に何されても抵抗できないんですよ？」

その言葉に、改めてこれが危機的状況なのだと思い知らされる。

待て、本当に俺大丈夫...？殺されたりとかしない？？

「あぁ、殺しはしないですよ。でも...こういうことはするかも♡」

またしても俺の思考を読み取ったかのような発言をしたと思った直後、そいつは俺の首に手をかけ＿＿＿

そのまま力を入れ、首を絞めてきた。

モ「んっ...！！んん！んー！」

ちょ、苦しい苦しい！！死ぬ！死ぬってば！！

ガムテで口を塞がれているため、余計に酸素の消耗が激しい。

喉が狭くなり、目がチカチカし始める。

ま、待って...ほんと...落ちる...

と、意識が落ちる直前でパッと手が離される。

...死ぬかと思ったよ！！！

モ「っんん...ん...」

とりあえず鼻から空気を取り込み、肺まで行き渡らせる。

少しずつ落ち着いてきたので、そいつをキッと睨んだ。

死ぬかと思ったじゃん！！！

「あははwこーんなことされてもあくまでその姿勢は崩さないんだ...？でも...目に涙溜まってて全然怖くないですよ？」

そいつの指が目に伸びてくる。反射的にぎゅっと目を瞑ると、優しく涙を拭っていった。

「かーわい...。んじゃ、私は貴方の仲間さんに電話しなければいけないので、貴方を誘拐した理由や私が誰なのかはその後にゆっくりとお話しましょう」

すっと目を細めると、俺の上から退きスマホを持って出ていってしまった。

俺は話を聞くために、静かにそいつが戻ってくるのを待つことにした。