お兄ちゃんマジびっくりだよ ページ3
シルクSide
マサイの家から帰ると、Aの様子がいつもと少し違った。
何故か微妙に目線が泳いでいて、突然俺が入ってきたことへの驚き以外の別の色が瞳の中で揺らいでいた。
心配になった俺は逃げるようにAが戻っていった寝室の扉を、音を立てないように静かにほんの少しだけ開けた。
Aは、イヤホンをして動画を見ていた。
...なんだ、ただの杞憂だったか。
そう思って扉を閉めようとした。
はずだったのに。
『もっきゅん
＿＿＿＿好き』
思わず耳を疑った。
今なんつった？
もっきゅん、好き？
Aが？モトキのことを？
しかし、混乱し始めた脳内の片隅にはやけに冷静な自分もいて。
...そうか、Aはモトキのことが好きなのか。確かにあいつら前からよく一緒にいたもんな、やっぱそうだったのか。
複雑な気分だった。
何故かは分からなかった。
ただ、ちょっとだけ寂しくて。
妹に好きな奴がいたと認めさせられたようで。
その場にいるのが辛くなった俺は、ふらふらと覚束無い足取りで家を出た。
＊
あてもなく彷徨ってどれくらい経っただろう。
気付けば、目の前にはいつもの公園があった。
そこのベンチに腰を下ろし、何の気なしに空を眺める。
すると、少しずつ頭が落ち着きを取り戻してきた。それと同時に固まったままの思考も動き出した。
先ほどのAの呟きが何度もこだまする。
シ「好き...か」
俺は本当は分かってたはずだ。
モトキと話すあいつがいつもより楽しそうだったことも、
モトキにしか向けられないデレがあることも、
＿＿＿ずっとあいつがモトキに心を寄せていたことも。
分かってたはずだ。
俺はあいつの兄貴だってことも、
俺もあいつもお互い兄妹だという認識しかなかったことも。
俺たちは兄妹。そう、兄妹。
いくらシスコンでも好きでも、結婚はできない。
いくら溺愛していても、全ては伝わらない。
俺は兄貴だから。
あいつは大切な妹だから。
ならば、俺に出来ることは一つ。
シ「俺は兄貴だからな。お兄ちゃんが、妹の恋を応援しないわけねぇだろ？」
自分に言い聞かせるように呟くと、思い切り伸びをして、歩き出した。
大丈夫。
俺はもう、悩まない。
空は、まるで俺の心のように晴れわたっていた。
ーーー
多分シスコンお兄ちゃんの心情はマジでこんな感じ。
対句法って使いやすい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 262人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サファイア - 頑張って下さい！！楽しみにしてるのじぇ！ (2019年7月17日 21時) (
レス) id: 7f764d15c5 (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - 皆さん、ご心配(？)おかけしました。なんとか無事上手いことやれたので、これからも頑張っていきます((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年4月13日 23時) (レス) id: 4925002279 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 主さんおかえりなさいです！ゆっくりで良いので、更新待ってます！ (2019年3月11日 0時) (レス) id: 6f905307eb (このIDを非表示/違反報告)
へ - 待っとるでえ頑張りいや (2018年10月15日 5時) (レス) id: 928cad3ace (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 待ってます！待ってます！待ってます！(大事な事なので3回言いました) (2018年10月12日 0時) (レス) id: 078ced3cef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alice:A | 作成日時：2018年3月14日 22時
