今日もありがとう｡ (ページ10)

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中島は一切表情を変えないが､俺は今伝えたいことを大切に口にしようと思った｡

それが今､俺がしてやれることなんだと理解できたから｡

『..." 悔しい " って思うと " 負けたくねぇな " って思わない??』

『...｡』

『で､ " 絶対に逃げたくない " って思えてこない??』

『...｡』

『だから､中島はここに居るんだよな??俺たちと同じ時間を刻み続けるために｡』

『...｡』

『それが､ " 生きる原動力 " なんだ｡』

『...っ...｡』

『俺たちは中島の全てを理解してあげられない｡分かってあげられない｡けど､俺たちは一緒だ｡』

『...ふうま｡』

『...お前が頑張るなら､俺たちは全力でそれを支える｡お前が前に進もうとするなら､俺たちは最善を尽くす｡俺たちは中島とどこまでも歩んでいく｡もう覚悟はできてる｡』

そう伝えると中島は眉を下げた｡

『...風磨って何でそんなにかっこいいことをさらっと言うちゃうんだよ｡』

『中島だって同じだろ??』

『...すげぇ､ズルい｡』

『はいはい｡もう帰るぞ｡』

そう言って俺は中島の手を引いて歩き出した｡

『風磨｡』

『ん??』

『ハンバーグ｡』

『...俺はハンバーグじゃありません｡』

『ハンバーグが食べたい｡』

『...しょうがないな｡』

『やった｡』

そう言って中島は俺のことを追い抜かし､逆に俺が引っ張られた｡

すっかり元通りになった中島を見て､今日の行動は間違いじゃなかったなと思えた｡

自分の言葉の選択が間違っていなかった､それだけで良かったと思えた｡

『中島｡』

『ん??』

『まだまだ､だ｡』

そう言うと中島は微笑んで頷いてくれた｡

それからの足取りは軽く､俺は今歩いているこの道を大切にしたいなと改めて思った｡