今日もありがとう｡ (ページ3)

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勝利たちを見送ってから､俺は一人家事を黙々と済ませていった｡

晴れた空に暖かな気温で洗濯物がよく乾くと中庭に干して､普段はちゃんと出来ていない掃除にも精を出して取り組んだ｡

床を雑巾で拭いて満足し立ち上がった瞬間､クラっとする感覚に体が傾きそうになったがグッと体が引き寄せられて難を逃れた｡

『...ったく｡倒れでもしたら､お前も俺も勝利に怒られるぞ??』

『...風磨｡』

『大人しくしてるんじゃなかったか??』

『...｡』

風磨の問いに答えられずにいると､体が持ち上げられあっという間にソファーに降ろされた｡

『まだクラクラするか??』

『大丈夫｡』

そう言ったが風磨はあまり信じてないようで､朝の勝利と同様に俺の額に手を当ててきた｡

『大丈夫だよ??』

『今は､な｡それに､中島は " 大丈夫 " じゃなくても " 大丈夫 " だって言うからな｡』

『...｡』

『んー､やっぱり様子見だな｡』

そう言って手が離れていき､風磨は隣に座った｡

そんな風磨を俺は少しの間､じっと見つめた｡

『なに??』

見つめられていることに不思議に思ったのか風磨がそう聞いてきて､俺はそっと体を横に傾けて風磨の膝の上に頭を乗せた｡

『...中島??』

『...少しだけ｡』

そう言うとゆっくり髪を撫でられて､心が安らぎ温まった｡

『...ダメダメ､だな｡』

『...｡』

『...まともに何も出来ないなんて｡』

『今日は､な｡明日は分からないだろ??』

『...そうだけど｡』

『中島は十分すぎるほど俺たちの為にしてくれてる｡』

『...｡』

『毎日､食事を作ってくれてる｡洗濯も掃除も俺たちがする前にやってくれてる｡』

『...それしか出来ないから｡』

『そんなにしてくれてるんだ｡』

そう言われて胸が締め付けられた｡

『俺たちが自由に何かをさせてもらえてるのは､先頭に走って道を開いてくれた中島が居るからだ｡全部が俺たち全員の新しい何かに繋がっていく｡』

『...風磨｡』

『だから｡』

そう言って風磨の指が俺の髪を梳かした｡

『こんな日もあるって思って､明日頑張ればいい｡
』

その優しい言葉に涙が流れそうになって顔を背けた｡

すると変わらない優しさと温かさを兼ね備えた風磨の手が俺の髪を再び撫で､俺は耐えきれず涙が流れた｡

『今日は､ゆっくりしよう｡』

『...っ..｡』

『何もかも､流れに任せてさ｡』

そう言われて俺は風磨の優しさにとことん甘えることにした｡