174話 ページ31
「あ、有難う御座います…」
「えー、ヒョン行かないでくださいよ〜〜」
座ったギョンスの頭とベッキョンの頭を撫でて、玄関に向かうと、扉の鍵が開いていた。
あれ、もしかしてジュンミョンさんじゃないのか？
キィ。少し緊張しながらもシッカリと韓国語を話しながら、ゆっくりと木製の扉を開けると、
「どちら様でしょうか？」
降り注ぐ雪の中に佇む背の高い、明るい染め上げた金髪とはまた違った。
地毛のような、綺麗な色の茶色が混ざった金髪頭の、目鼻の整った洋風な顔立ちをした青年が、僕を見て、優しい笑みを浮かべた。
「迎えに来たぞ、A。」
甘い甘い低く穏やかな声音に。
どくん、心臓が痛む。
え、何で僕の名前…、
じゃ、ない。
きっと、Aの。彼女の名前を言っているんだ。
だって、僕と彼は、初対面な筈だ。
「ち、ちが、僕は、」
「…、どうしてそんな嫌そうな顔をするんだ？A。」
切なそうに顔を歪める目の前の青年に、何故か胸の動悸がバクバクと早まり、掌で胸を抑え込み玄関の壁へと寄り掛かろうとする僕を、青年は骨ばった手で掴み、自身の方へと引っ張る。
「やめ、てくださ…僕は、Aじゃな、」
「A、もう俺の前からいなくならないでくれ、お願いだ。」
違う。違うんだ。
僕はAであって貴方が言うAじゃない。
僕をAにしないでくれ。
僕を、Aのままでいさせてくれ。
「…あの時は、すまない。A…、だがもう大丈夫だ。俺が迎えに来たからな。」
何だ、何のことを言ってるんだ。
微かに青年から狼の匂いがする。畜生、目が霞んできた。
このままじゃ駄目だ。
ジョンイン、ベッキョン、誰か、お願いだ。気付いてくれ…。
「Aッ！？誰だテメェ！！！」
「クリス！その子を離せ！！！」
暗闇の中、チャニョルとジュンミョンさんの怒鳴り声が遠くから聞こえた気がした。
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ルカ(プロフ) - 凄く凄く面白いです！！もう更新されることはないのでしょうか、？ (2020年7月10日 2時) (
レス) id: 2e0d30f8b8 (このIDを非表示/違反報告)
知世(プロフ) - すごくおもしろいです！続きが読めて嬉しいです！ (2018年1月11日 5時) (レス) id: 1c332bbfc6 (このIDを非表示/違反報告)
さわこ(プロフ) - 続きが気になります！！(..)更新頑張ってください！応援してます(ﾉ^∇^)ﾉ (2016年3月23日 22時) (レス) id: 9fb7565ee0 (このIDを非表示/違反報告)
citron.(プロフ) - はんはんさんの書く小説が1番好きです。更新頑張ってください！（ ; ; ） (2016年1月27日 13時) (レス) id: a29a69a082 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - すうちゃんがとても切ないです…なのにカイくんも。ああぁ(´；ω；｀)いつもいつもコメントしてしまってすいません笑 (2015年12月10日 20時) (レス) id: 1e32658c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はんはん | 作成日時：2015年9月25日 17時
