172話 ページ29
なんでだよ。分かりたいのに。
もっと、Aを知りたいのに。
側にいるのは俺なのに、遠くに感じるのは、なんで、
「気に入らねぇ…。またそうやって変な笑いなんか浮かべて！！何も言わねぇつもりなのか？！俺はお前にとってただの同居人なのかよ？！？俺が毎晩どんな想いで……ッ…！！！」
Aの肩を掴みながら目の前にいるAに向かって気持ちをブチまけてから、Aの表情を見て、ハッとした。もしかしてお前が苦しそうに見せる表情の一つは、俺が、原因か？
なぁ、A。
無理して笑うのは、やめてくれ。
その下手くそな笑みを見せられるより、いっそのこと嫌いだと、拒絶される方がずっとずっと、楽なんだ。
「……行くなよ、A……、頼むから……」
俺の声が擦れる。
情けない。それでもいい。どうか、分かってくれ。俺の気持ちを。俺から、逃げないでくれ。俺を、少しでも意識して。
俺を見上げるAが、チラリと俺から目線を離しベッキョンやギョンスへと視線を交わした時、俺は、自身の何かがゆらりと抜けていくのが分かった。
お前にとっての俺は…
そしてまた、扉の外で抱き締めあう二人を見て、俺は、確信をする。
「ゆっくりで、いいから…。」
真面目な顔をして、Aを見つめるジョンインに、俺の見たことのない表情で、ジョンインを見つめるA。
「う…うん。分かったよ」
顔を赤らめ、幸せそうなA。その表情は、俺がさせてやりたかったのに。
そっか…わかったよ…A、
いくら側にいようが、
俺はAにとって、
ただの、友達、なんだな。
「叶いっこないって分かってたのに…手を出した、俺が悪いんだ…。」
はぁ。重たい溜め息を吐き出すと、ぽろり。一雫の涙が、目から零れ落ち、ベッドのシーツを暗く湿らせた。
「今日の昼ご飯は？」
「あ、それがさ、ギョンスが美味しいパン屋を…」
扉の隙間から漏れてくる、幸せそうに遠ざかっていく二人の足音が、また、余計に俺を虚しくさせる。
「好きになった、俺が悪いんだ…」
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ルカ(プロフ) - 凄く凄く面白いです！！もう更新されることはないのでしょうか、？ (2020年7月10日 2時) (
レス) id: 2e0d30f8b8 (このIDを非表示/違反報告)
知世(プロフ) - すごくおもしろいです！続きが読めて嬉しいです！ (2018年1月11日 5時) (レス) id: 1c332bbfc6 (このIDを非表示/違反報告)
さわこ(プロフ) - 続きが気になります！！(..)更新頑張ってください！応援してます(ﾉ^∇^)ﾉ (2016年3月23日 22時) (レス) id: 9fb7565ee0 (このIDを非表示/違反報告)
citron.(プロフ) - はんはんさんの書く小説が1番好きです。更新頑張ってください！（ ; ; ） (2016年1月27日 13時) (レス) id: a29a69a082 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - すうちゃんがとても切ないです…なのにカイくんも。ああぁ(´；ω；｀)いつもいつもコメントしてしまってすいません笑 (2015年12月10日 20時) (レス) id: 1e32658c96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はんはん | 作成日時：2015年9月25日 17時
