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「げっ」
『わっ…』
急に地面の感覚がなくなり、気が付いたら宙に浮いていた。
ダダッ
次は、走る音がしたと思ったらどこから現れたのかもう一体の呪霊が悟さんが獲った頭を持って行ってしまった。
『さ、悟さん！私たちは大丈夫なので！』
「ソイツ追って！！」
『っ、きゃっ…』
ギラーンと私たちを捉えている変な木が鋭い枝を使って私たちめがけて攻撃をしようとする。
『(やば…！)』
「A！」
バッ
ドシャッ
「大丈夫？」
『は、はい…』
悟さんの攻撃によって変な木からは解放されることができ、今は何故かお姫様抱っこをされている状態。
「…へぇ」
突然現れた先ほどの呪霊はもちろん消えてしまっていて、悟さんはそちらの方向を向きながらそう感嘆した。
「(逃げられた。気配を消すのが上手いな。火山頭よりもよっぽど不気味だ)」
『さ、悟さん。もう大丈夫なので降ろしてください』
何か考え事をしている中申し訳なかったが、悠仁くんもいるのに恥ずかしかったため私はそう願い出る。
「え〜、このままでいいよ」
『嫌です』
「もう、恥ずかしがり屋なんだから」
まだぐちぐちと文句を言っているけれど、ようやく渋々下ろしてくれる悟さん。
『そんなことより、すみませんでした。私のせいで逃がしてしまって』
「Aだけのせいじゃないよ！俺なんて術式もクソもないから何もできなかったし…」
「僕も後から追えると思ってたから仕方ないよ」
『…はい』
「そんなに落ち込まないの」
そう言って、悟さんは俯く私の顔を両手で包んで上を向かせる。
そして、頭を優しく撫でてくれた。
「それにしても、このレベルの呪霊が徒党を組んでるのか。楽しくなってきたねぇ」
この状況でそんなこと言えるのは貴方だけです。
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作者名：水原カノ
| 作成日時：2021年3月30日 14時
