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「…で？全然要領得ないんだけど」
「焦らない、焦らない。そろそろだよ」
次の瞬間、カッと目を開ける呪骸。
そして、ボグッと聞いたことのない音を出しながら悠仁くんの顎にパンチを入れた。
『わお…』
「いっでええええええ！！」
『えーとですね。その呪骸は一定の呪力を流し続けないと目を覚まして今みたいに襲ってくるの』
「A本当にこれやったの！？」
『私は意外にもすんなりすぐにできたんだよね…。なので奇跡的に1回も当たってないの』
「まぁ、もし失敗しても殴られる前に僕が殴り返してたし！」
「えぇ…」
「さっきも言った通りここには色んな映画が揃ってるから。ドキドキ、ハラハラ、ワックワック。泣けて笑えて胸クソ悪くなれる」
『まずはそのクマさんを起こさずに映画を1本無傷で観通すこと』
「これがどんな感情下でも一定の呪力出力を保つ訓練。多過ぎても少な過ぎても駄目だよ。今は悠仁でも出せる程度の微弱な呪力に設定してあるけど徐々に大きな出力を要求してくるから常に気を抜かない様にね」
「抜きたくても抜けねーよ、これじゃ…」
「何から観る？これなんてオススメだよ。ヒロインがムカつくんだけどね、」
『最後派手に死ぬんです』
「2人してすんげえネタバレ。最初はアクショ、ン"ッ」
パチッと目を覚ましたと思ったら一瞬でグシャッと悠仁くんの顔面にパンチが入る。
「もー！！も”ぉー！！！」
怒りを露わにする悠仁くん。
そりゃイラッとくるよね…まだ慣れないし。
『(私なんでできたんだろ？殴られたくなくて必死だったのかな…)』
…まいっか。今できてるし。
あ、感覚主義なのかも。
「はい、イライラしても呪力は一定」
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作者名：水原カノ
| 作成日時：2021年3月30日 14時
