配合恋愛。 (ページ5)

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ＳＺ(=セクシーゾーン) ページ5

「おはようございます。」

先輩から頂いた夏用の黒いニット帽をかぶり
度入りのメガネをかけてビルに入る。

「やっぱりね。」

明日はいつもより1時間早めに行くよ！なんて
昨晩LINEしてきた健人くんが楽屋にいるはずもなく。
俺は一人の空間にバッグを放り
スマートフォンの通知を丁寧に片す。

「ごめん勝利、言ってた時間より30分遅れる！……か。」

液晶の中で、
アメコミキャラのスタンプが何度も頭を下げる。
そして、付け足しの一文がピコンっと送られて来た
「Sexy sorry...」健人くん、予想はしていたよ。

あと30分は待つのか、
磨いた爪の光る指先で無意味に画面をスクロールして
ほんの２、３分を潰すことにした。

もう少し有意義な過ごし方はないものか、
車の雑誌を持ってこなかった自分の運の悪さを
改めて思い知る。

「暇なんですけど。」

吐き捨てるような俺の声。
しかし、虚しいほどに何も帰ってこないのだ。

一刻も早くと時間を進めて、
メンバーと話したい。

何を話そうか、今日の撮影はどんなだろう、
そんな未来への妄想が自分の中の時間を進める
最高の手だてのような気さえする。

一つ息をついて
仰向けに寝転がった。
寝転がるついでに面白いニュースでも転がっていないものか、
暇潰しに検索サイトを開く。