アルコール54% ページ10
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「内緒。Aには教えてやんない」
そう言ってそっぽを向いた彼を、アタシは不可解に思っていた
(変な奴)
掴めないような性格は今に始まったことでは無いが ──
(・・・・・・まぁいいや)
あまり気には留めず、徐ろにズボンのポケットからスマートフォンを取り出してE組のグループラインを遡った
(新しい通知は無し、か)
時が止まったようなチャット欄に、心の中で落胆してしまう
「次のE組会っていつするんだろ。お前何か知ってる?」
アタシは電子機器と向き合ったまま彼に話し掛ける
「さぁね。大体磯貝か片岡さん中心で決まったのに従うだけだから。でも二人とも忙しいんじゃない?月末だし」
「そうだよなぁ」
悠馬と会うのはまだ先だと間接的に言われているようで、更に遠のきそうな予定に肩を落とした
「二人でどんな打ち合わせしてんだろ」
「まぁ。大方、貸切に出来る店探してるだろうけど」
何か思い当たる節がありそうな業に、貸切?と言葉を反芻する
そこから一拍置いた後、アタシの脳裏にはカエデちゃんの顔が浮かび上がっていた
「あぁ、そっか。アタシらのクラス有名人ばっかだった。クラスメイト感覚の方が強くて忘れそうになるわ」
「一回、騒がれて大変なことになったらしいよ。それ以降ずっと団体で貸切してるってさ」
「なるほどな。完全貸切可能な居酒屋か。そう簡単には見付けられない訳だ」
薄い期待を込めて、インターネットサーフィンで次から次へとウェブページを開いてみた
しかし、" 宴会可能 " という言葉はよく見当たったが、そのどれも店自体を貸切に出来るようなものでは無さそうだ
どうしたものか、とスマートフォンを触る指を止めて思考を巡らせると、どこかから嘆くような声が聞こえてくる
「これなら1日貸切にした方が良かったな」
「・・・・・・あ」
確か店長がそう言っていたことを思い出す
「貸切に出来る店あるかも」
「へぇ。接待でよく使われる高級店とか?」
「いや。アタシの融通が効くところ」
思い立ったら即行動だ
試しに店長にラインを入れてみるとこの時間が余程暇だったのか " 金が稼げるなら何でも良い " と気持ちの良い返事がすぐにあった
これから新しいことを始める時のような、ワクワクとした気持ちを抑えきれない
「なぁ!アタシんとこの居酒屋貸し切って、会開くのってどうだろ」
「あ〜。良いんじゃない。磯貝に連絡してみなよ」
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時