アルコール51% ページ7
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「お先っす」
「おう。遅いから気を付けてな」
鼻腔に漂ってくる焼き鳥の燻かしい残り香が染み付いた制服は、トートバッグの中に仕舞い込まれていた
まだカウンター席には泥酔した中年男性が一人残っていて、あと一口分のビールを片手に真っ赤な顔で長テーブルに突っ伏している
(店長可哀想)
深夜でお客さんが殆ど居なくなったと言うのに、この後も店は畳めない
先に上がらさせて貰うことになったアタシは、横開きのガラス戸を引いて、すっかり冷え込んだ秋夜に一歩踏み出す
何気無くスマートフォンのロック画面に映るデジタル時計を見ると、時刻は日付けを軽く跨いでいた
(もう25時近くか。くそ。終電逃した)
そう思ったのと同時に、一気に肩から伸し掛るような疲れが襲って来た
それもその筈、キッチン、ホール、洗い場と一人三役を6時間程ずっと休む間もなく働き続けていたのだ
納得の行く重たい足を動かして、アタシは閑散とした街を20分離れたところにある自宅を目指して歩いていた
──
────
──
歩き始めて数分経過したところだった
主要駅付近にやって来ると、向こうの方にあるタクシー乗り場のロータリーに "乗車中 " のランプが灯った車が見える
(お偉いさんは良いよな。気兼ねなくタクシー使えるんだから)
羨ましくぼう、と見ていると、タクシーのドアが開き185センチ程の人影が出て来た
(あれ。こっち来るぞ)
やがて街灯の光に照らされて、その人が鮮やかなジンジャーヘアをした男性だと気付いた頃には、アタシとの距離が5メートル程になるまで縮まっていた
「Aじゃん。こんな時間に一人で何してんの」
彼を乗せていた車はいつの間にか遠くを走っていた
「いやお前こそ何してんだ。まさか仕事帰り？」
「そう。そのまさか」
当然のことのようにスーツ姿の業はそう答えるもので、あまりの過酷さに気が萎える
(社会人大変だな)
「お疲れ様」
「これでも早い方だけどね」
「うわぁ。アタシ官僚にだけはなりたくない」
「それでAは何してんの。まさかそっちも仕事帰り？」
「まぁそんなところだな。店長はまだ働いてるけど」
「俺居酒屋店員にだけはなりたくない」
そうお互いに罵りあったところで、静寂な秋の夜が冷たい風を運んで来た
彼はスーツの袖を摩ってアタシに訴え掛けてくる
「ねぇ、ちょっとどっか寄ろうよ。一杯くらい付き合ってくれても良いでしょ？」
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます！イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです！ (4月18日 12時) (
レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください！ (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです！！🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります！ (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです！ (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しがない物書き | 作成日時：2023年12月20日 3時
