アルコール50% ページ6
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「遅い。お前どこで油売ってやがった」
出前の配達から居酒屋のバックヤードに戻ると、店長がキレ気味で煙草をふかしていた
(うわ。ダルい)
内心そう思いつつ、一応頭を下げておく
「ウッス」※訳:すみません
「ウッスじゃねぇよウッスじゃ。お前謝る気無いだろ。すみませんでした、って言うんだよ。分かったか?」
「ウッス」※訳:はい
「チッ。歳上舐めやがって」
悪態を付く店長を気に留めることも無く、アタシはバックヤードの監視カメラでサラリーマンで賑わう店内を確認する
普段は疎らなカウンター席が一席も余裕が無いことから、全席満席なのが見て取れた
(これは。アタシの居ない間、相当大変だったろうな)
「今すっげぇお客さん多いみたいっすね」
「そうだよ。クラスで押しかけて来たのかってレベルでさ。帰っても新規が減らないんだよ。これなら1日貸切にした方が良かったな」
「華金怖ぇ」
「ってか、お前が遅いお陰で俺がキッチンで燻される羽目になったんだからな。自分が焼き鳥になったのかと思ったわ。このまま提供するぞ!」
「それギリセクハラっすよ」
店長の話を軽く聞き流しながら、ホールに入る準備をしようとアタシは自分のロッカーの戸を開いた
(今日の上がり時間は24時を回るだろうな)
最悪の事態を想定し、例の紙袋を自分のロッカーに入れようとしたその時だった
「ん?何だその紙袋」
店長に化粧品の存在を見付かってしまい、アタシは一気に狼狽える
「いやいやいや。何だって良いじゃ無いすか」
「何を慌てて隠してやがる。
・・・・・・ってお前、ちゃんと配達したんだろうなぁ?」
紙袋を背中に隠す素振りを不審に思ったのか、店長はアタシの手から瞬く間にそれを奪った
「あ。ちょっと!」
「んだこれ。化粧品?」
「そうっすよ」
「お前が化粧品?」
「そうっすよ!なんか文句でもあるんすか」
初めこそキョトン顔をしていた店長だったが、次第に現実を受け入れ出したようで、アタシの顔を見て吹き出し始める
「ブハハハッ。いやいやお前にこんな女の子が付けるようなもの似合わないって。目覚ました方が良いぞ。ほぉら左右田さん朝ですよ〜」
「るせぇ!んなこたアタシが一番分かってるっつーの!今付けてるのも似合わないって言うんだろクソが!」
「え。今付けてるって。そんな微細な変化、お前に興味ある奴しか気付かねぇって。何?サイゼリヤの間違い探しですか」
「ぶっ殺してやる!」
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時