アルコール49% ページ5
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小さな小瓶のような物に入ったピンク味のある綺麗なグリッターや高貴な装飾が施された青みピンクのグロス、使い方が分からないラベンダー色のチークなど ── どれもアタシに似つかわしくない物ばかりが出て来た
(うわ・・・・・・)
それに引き換えアタシの家にある化粧ポーチの中は、薬局に行けば絶対に手に入る質素なラインナップのみで構成されている
そんな敷居が高い化粧品達には当然のように腰が引けてしまう
「うん。ありがと。気持ちだけ受け取っておくな」
「え!どうして!」
「いやぁ、これはアタシが使って良い代物じゃない気がするんだよ。適材適所ってあるだろ」
「そんなこと無いと思うけどなぁ。
・・・・・・ほら!このグロスなんてAちゃんの白い肌にすごく映えそう」
カエデちゃんはそう言って、上蓋にクリスタルガラスで出来た王冠の装飾が付いている如何にも女の子な物体を向けて来る
「いやいや!馬鹿か!それが一番有り得ねぇって!目の付け所おかしいぞ」
「んなぁっ!そんなの付けてみないと分からないよ!」
彼女は躍起になって、時計回りにキャップを捻りだした
「おい。何で蓋開けてんだよ」
「Aちゃん。磯貝くんに綺麗って言って貰いたいよね?」
「は、はぁ!?」
「言って貰いたいよね?」
──
────
──
全身真っ黒の仕事服に身を包んだアタシは、げんなりとした顔で紙袋を片手にテレビ局の廊下を歩いていた
グロスでベタベタとした感触の唇、瞼に塗られたシマーなアイシャドウ、何層にも重ねられたベースメイク
そのどれもがいつもより肌を重たく感じさせる
結局のところ彼女にフルメイクをされたのだ
「わぁ ! 私の思った通りだ ! Aちゃん元が良いからメイク映えするね」
アタシは楽しそうにはしゃいでいたカエデちゃんの笑顔を思い返す
(まぁ、お世辞が上手なこった・・・・・・)
そう思い、草のような息を一つ吐くと ──
「キャあッ」
突然、頭上から甲高い声が聞こえてきたのと同時に、何か柔い物に当たった
どうやら不注意で前方から来た誰かとぶつかってしまっていたようだ
「す、すみません!」
「もうビックリしちゃったあ!」
そう言ってアタシの横を通り過ぎて行く女性にアタシは目を引き付けられる
クリリとした丸い目と華奢な手足を持つ彼女は ── 幼少期に誰しもが憧れるフランス人形のようだった
(モデルさんかな。可愛い人だな)
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時