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アルコール82% (モブ視点) ページ38

(※モブ視点)





夜空には既に星が瞬き始めていた

銀座線から降りて来た帰宅途中のサラリーマン達とは逆行して、僕は商談資料を小脇に顔を真っ青にして走っていた


「赤羽さんならさっき出て行ったけど。多分接待じゃない?」


同胞に告げられた言葉が酷く木霊する

駆け足で辿り着いた酒場に乗り込むと、教え込まれた作法も忘れて勢い余って襖を横に開いた


「遅くなって申し訳ありません!まだ仕事するならそう仰って下さい」

「ん?」


ぼぅ、とどこか遠い目線でこちらを見た上司の手には、中身が三分の一程度になっているビールジョッキが握られている

見るからに酩酊初期状態だと伝わって来て、予想外の場面に、僕は何度か瞬きをした


「赤羽さん飲んでますか?」

「いいや全然」

「それ何杯目ですか」

「6杯目」

「飲んでますね」

「そう言う自分は何。商談資料?」

「はい。接待と聞いたので」


そう答えると彼はアハハ、と軽快に笑った


「こんな時間まで仕事するわけないじゃん」


(いつもしているんですよ)


「まぁ、せっかく来たなら座っていけば?」

「あ、はい。失礼します」


畏まって席に着く僕を他所に、上司は手に持っていたそれを豪快に飲んで行くもので、あっという間に6杯目にバブルリングが出来た

職場では見せたことの無い荒ぶ一面に、少々心配が募る


「結構飲んでますね。大丈夫ですか?」

「まぁね。ちょっと自棄酒ってところ」


──
────
──


「それって結婚するってことですか?」

「俺はその気でいるよ」


8杯目のお酒のせいか、普段は施錠されている筈の内情がオープンになって、上司はかなり饒舌だった

ほんの数分前、彼は僕の前で本音を零していた


「俺にはこの子しかいないって電撃が走った。結婚相手ってこうやって決めるんだろうね」


(凄いことを聞いてしまった。省で赤羽さんロスが起きそうだ)


「赤羽さんからのプロポーズは誰だって嬉しいですよ」

「いやぁ、現状は酷いよ。向こうにはダチとしか思われて無いし。しかも片想い相手に告白するとか吐かしやがった」


(え)


「何。鳩が豆鉄砲喰らったような顔して。俺が恋愛に手子摺るの意外だった?」

「はい。驚きました。赤羽さんでも落とせない女性が居るんですね」

「まぁ、玉砕覚悟でこっちが勝手に惚れ込んでるんだけどね」

「ほぉ」


ここまで言わしめる女性 ── 左右田さんって一体どんな人だろう





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設定タグ:赤羽業 , 市販書き(二次創作),暗殺教室 , 磯貝悠馬   
作品ジャンル:恋愛
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時

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