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アルコール81% ページ37







「── 今度の仕事が待ち遠しいわ」


クォーツを瞳の中に散らしたように輝かせ、未来に思いを馳せている彼女の横顔がこの上なく奥ゆかしかった

Aの口から4歳児の男の子が登場する度に、強炭酸のような活力のある表情を向けられて、真近でそれを目の当たりにしているとこちらまで浄化されて行く


(社会の汚い部分とか知らないんだろうな)


そういうものを持ち前のスカッとした性格で弾き飛ばしてしまうような子だ

ガラスの向こうが透けて見える程、一切の不純物が混じっていない爽やかな清涼飲料水のようで ── 単純に綺麗だと思った


──
────
──


「出来たぞ〜!」


彼女がキッチンへと消えて行ってからほんの数分後、湯気立つ漆器の椀を2つ手に持って得意気な顔で歩み寄って来た


「何持って来たの?」

「牛乳と卵の味噌汁」


そう言ったAにえ、と俺は思わず声を上げた

淡いミルクに溶かされた味噌と形の整った落とし卵が入っている椀物に、少し期待をする


(俺の好みの味付けだけど。何で)


「パンケーキの端材で適当に有り合わせた」


(あぁ。たまたまか)


そんな考えを見透かすように彼女は口を横に開けて自信のある表情をする


「お前が好きな味噌汁の具つったらこれだろ。栄養付けて元気出せ」


そう言った彼女からしばらくの間、目が離せなかった


(うわ。殺られた)


この先の未来を一緒に過ごす気がしてならない

恋愛沙汰でこんなにも突き動かされるような気持ちになるのは初めてだ


「好き」

「は?」


咄嗟に手を強く取って、気が付けば口が滑っていた


「・・・・・・ああ。味噌汁の話な」


しかし、こちらの想いを無下にするかのように彼女は話を湾曲させる


(面白いくらい伝わらないなぁ)


「何笑ってんだ」

「ん〜ん」


(これは好きとかそんな簡単な言葉じゃ片付けられない)


ブランデーに火を付けたように気持ちが焚き付けて燃え上がっている

俺をここまで本気にさせたのだから、相当の覚悟をして貰わないと


「ねぇA。俺、死ぬ程欲しいもの見付けた」

「お、おう」

「どうやってその薬指を頂こうかな」


まだ誰のものにもなっていない綺麗な指先に目星を付けるも、相手にその意図は伝わらない


「よく分からんが頑張れ」

「うん」

「あ。そうそう!頑張ると言ったらアタシも。お前に言いたいことある」

「ん?何」

「今度悠馬に会ったら告白しようと思ってんだ」





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設定タグ:赤羽業 , 市販書き(二次創作),暗殺教室 , 磯貝悠馬   
作品ジャンル:恋愛
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時

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