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アルコール80% ページ36







「A遅い ! もっと早く追い掛けて ! 僕のことすぐに捕まえられるって言ったくせに」

「・・・・・・ぐ。ま、まぁ待て。まずは30分休憩させてくれ。捕まえんのはそっからだ」

「それさっきも言った」


中腰になって息の上がったアタシを、情けないと言わんばかりに見てくる園児の彼を思い浮かべる

いくら自分が体力の無い方だからと言っても、鬼ごっこの相手は四歳児なのだ

アタシとは二十歳近く年が離れているし、正直なところ、大人の余裕でも見せてやろうくらいには高を括っていた


「誉ってマジで足速くてさ。アタシの腰元くらいしか無いから、すばしっこいのなんの」


そう言ったアタシの話を蔑ろにすること無く、隣に座る彼は適度にへぇ、と相槌を打つ


「やっとタッチしたと思ったら、バリアーとか言い出すし。超可愛いくね?今度の仕事が待ち遠しいわ」

「そっか。A楽しそうだね」


こちらに向けられた彼の微笑ましい表情と、ほとんどアタシによって平らげられた空の大皿を見て、ようやく我に返った


(・・・・・・あ)


先程から自分の話ばかりしていて、肝心の業の愚痴を何一つ消化していない

それに加えて、アタシがバクバクと食べているせいで気を遣ってくれたのか、パンケーキも少ししか手を付けていないでは無いか


「晩飯抜きなんてざらにあると思うけど」


いつの日か居酒屋で告げられた言葉を反芻させた

国家公務員の中でもストレスの溜まる仕事なのだから、せめて今日くらいは栄養を取って欲しいものだ


「お前まだ食える?」

「え」

「そろそろ〆にしようぜ」

「何持って来るのか知らないけど良いよ」

「よし。じゃあそこで待ってろ」


そう言ったアタシに ── よく食べるね、と小言を放つ彼を差し置いて、キッチンに向かって行った

冷え込んだ廊下の先にあるワンドアタイプの冷蔵庫を前にしゃがみ込んで、甘い物で溢れ返ったそれの中身にアタシは眉間に皺を寄せる


(業には、ああ言ったけど。めぼしい物が何も無ぇな)


ここに来て普段から自炊をしないことが仇となるなんて

唯一買い込んでいたホットケーキの材料を有り合わせて、何かを作るしか選択肢が無い

卵のパック、牛乳、辛うじて家に備え付けていた調味料 ── 数少ないこれらを並べてアタシは考え込む





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設定タグ:赤羽業 , 市販書き(二次創作),暗殺教室 , 磯貝悠馬   
作品ジャンル:恋愛
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時

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