お酒は二十歳になってから ２杯目

アルコール74% (モブ視点) ページ30

(※モブ視点)





フランス人形に寄せるために500万円課金した顔面と死に物狂いで手に入れた抜群のプロポーション

メディアで脚光を浴びるには、とにかく資金が必要なのだ

大物議員がよくワイドショーで不倫や不貞行為で世間を騒がせているが、その相手は下積み時代のモデルやアイドルのパターンがほとんどだ

汚れ仕事と言うのは重々に承知しているが、私にとって金は金

伸し上がるためならば何だってする


「商談お疲れ様ですぅ」


私の胸元ではペンに模した隠しカメラが赤く光っている

甘ったるい声で会議室の重厚なドアを開けて中に忍び入ると、今回のターゲット ── 経済産業省の赤羽と言う男は顰め面をしていた


「あんた誰」

「やだあ。そんなに怖い顔しないで下さい」

「俺、次があるから」


そう言って私に1ミリも興味を示さない男が風を切って歩いて行く

一筋縄では行かないと話には聞いていたが、まさかここまで相手にされないなんて


「ああ、待って待って。わたし赤羽さんに会いに来たんですよ？行かないで下さい」

「へぇ。俺の名前知ってるんだ」


呼び止めた途端、鋭い目を向けられる

早々に怪しまれてしまったが、私はそこを上手く利用する


「はいっ。お噂で兼ね兼ね。聞いていた通りとても格好良い方で素敵ですわ」

「要件は？」

「あのぅ。私、赤羽さんとお近付きになりたいんです」


こういうのは強引なくらいが良い

態とらしい程に胸元をはだけさせて、谷間を強調させる


「私の身体に興味ありませんかぁ？」


──
────
──


スリットドアを開けた先の会議室Bでは、経済産業省に現れた怪しい美人と僕の上司が言い争っていた

赤羽さんの手元には、一本のボールペンが握られている


「小型カメラねぇ。俺のスキャンダルで今一番喜ぶのは、国際課の奴らだし。誰に幾ら貰ったの？」

「な、何を訳の分からないことを！」

「言えないってことは上層部の連中で確定かな。あ〜、ちなみに。あんたも金貰って逃げれると思ってんの？」

「え」


彼は女性に不敵な笑みを浮かべた


「俺に喧嘩売ったんだよ。この映像で逆にリークされる可能性って考え無かった？」

「･･････ひっ」

「お互い仕事には傷付けたくないでしょ？俺が本気になる前に早く去りなよ」

「いやああッ！」


男なら誰しもが鼻の下を伸ばしてしまう程の絶世の美女を、惜しげも無く一蹴した上司の機嫌は過去一番最悪なものだった





・


(モブtoモブで、すみません･･･)

アルコール75%→←アルコール73%

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す