アルコール73% ページ29
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「誉は誰にこれを持って行くんだ ? 」
「園長先生」
「そっか。アタシも園まで行って良い ? 」
「うん ! 」
一人でお使いに来ていた誉を送り届けるつもりで数分前にそんな会話を交わし、住宅で連なった車通りのある路地を手を繋いで歩いていた
彼の懸命に伸ばした指先がアタシの腰元にあるもので、身体の重心が下の方へと引っ張られる
熱の篭った柔らかい小さな手で、楽しそうにこちらの腕までをも振り子のようにブンブンと振っている
「A。園に着いたら一緒に遊ぼう」
「おう!良いぞ!何がしたい?」
「えっとね。Aが永遠鬼の鬼ごっこ。僕は一生捕まらないんだ」
「あはは。面白いこと考えるな」
子供の柔軟な発想を敬っていると、誉は反対側の空いた手で目の前の木製の建物を指さした
「あ。着いたよ」
それを目の当たりにした瞬間、一度だけ調子に乗ってパルクールで下校をした中学時代の映像がフラッシュバックする
(ここって・・・・・・)
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──
(※モブ視点)
── 一方、同時刻の経済産業省
あれから危機管理災害対策室には、分かり易く国際課の人間が頻繁に出入りするようになり、まるで赤羽さんの粗を探すかのように周囲を嗅ぎ回る日々が続いていた
現在、上司は別の課の重鎮と会議をしている真っ最中だ
僕は過去の会議資料を纏めようと、束になった100部のPPC用紙を目で追っていた
そんな風に集中していたからか、突如何者かに後方から肩を叩かれて全身が跳ねる
「こんにちはっ。貴方、赤羽さんの直属の部下の方ですよね?」
そう言ったのは、目が丸く陶器肌のフランス人形がそのまま人間になったかような綺麗な女性だった
8等身と言う日本人離れしたスレンダーな体型に、思わずモデルの職業を彷彿とさせる
(こんな人、うちの省に居たっけ?)
「あのぅ」
「あ、すみません。仰る通りです」
「やっぱり!今どちらに居らっしゃるのですか〜?」
「えぇっと。何か申し伝えることがあれば伺います」
「いえ!直接の用事だから居場所教えて欲しいんです」
「会議室Bです」
僕のそれを聞いて彼女はグイ、と態とらしく端正な顔立ちを近付けて何かを企てているのか、怪しく微笑んだ
「ふふっ。ありがとうございます」
やがてすぐさま踵を返し、言われた通りの方向へとヒールを鳴らして行った
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時