アルコール72% (オリキャラ有り) ページ28
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「ちょっと早くしなさいよ」
会計列が滞り出してすぐの出来事だった
アタシの一つ前に居る50代くらいのふくよかな女性が、タンタン、と靴底を鳴らしながら怒気を孕んだ声で苛立ち始める
「ねぇ、坊や?財布が見つからないなら後列に並び直しなさい。私が先に会計するから」
「何で?オバサンより僕が先に並んでた」
「オ、オバサンですって?こんの!クソ生意気ねぇ!迷惑だからそこ退きなさいって言ってるのよ」
そう言った女は買い物カゴを白いレジテーブルの上に無理やり置いた
小さな男の子を力づくで押し退けようとしたところで、一部始終を見ていたアタシの堪忍袋の緒が切れる
「おい!子供相手に何してんだよ」
4歳の彼は大人の喚き声にすっかり怯んでしまい後列に下がろうとしているもので ── このままだと悔しいと思ったアタシは男の子を制止させるように腕を伸ばした
「退かなくて良いからな。店員さんすみません。アタシが払います」
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スーパーの自動扉を抜けた片隅で、買い物袋を2つ持ったアタシは彼に目線を合わせるためにしゃがみ込んでいた
「初めまして。アタシは左右田Aって言うんだ。お前もお使いの途中か?」
「お前じゃない」
「うん?」
「僕、お前じゃない」
「ごめんごめん。名前分かんねぇからさ」
「言わない」
「そっか〜」
地面ばかりを見ていて一回もこちらに目を向けようとしない男の子に、アタシは微笑ましい思いで眺めていた
成長発達の過程で感情と思考がまだまだ混乱している幼児期ならではの、つっけんどんな態度が胸の奥を擽る
(この子、イヤイヤ期真っ盛りだなぁ。可愛い)
「それにしても、さっきの超格好良かった!" 僕が先に並んでました " ってよく言ったな」
「普通だし」
「普通じゃねぇよ。世の中にはルール守れない大人も居るんだから。お前は度胸ある奴だ。よく立ち向かった!」
「そうかな」
「おう!アタシ見ててスカッてしたぞ。あ、これどうぞ」
そう言って軽めのビニール袋を手渡すと、彼は俯いたまま受け取ってくれた
「ありがとうお姉さん。僕のこと
「そっか!誉って言うんだ。よろしく」
「うん!」
(ちっちゃい子、まじ天使)
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*
(※名前は日本酒の種類から取りました)
* 園に通う4歳の男の子
* しっかり者だが、気難しい一面も
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時