アルコール67% ページ23
────────
────
──
「保育士資格をお持ちで、ピアノもお上手。園児の気持ちもよく理解なさっているけど。ただねぇ・・・・・・」
園児達が作ったであろう折り紙が壁一面に貼られた保育所の職員室では、一枚の履歴書を凝視する園長先生の姿があった
正面に高圧的な態度の40代後半の女性が立ちはだかっていたもので、アタシは畏まっていた
「貴方、園児に向かって咄嗟に " お前 " って仰ったでしょう!私驚いてひっくり返りそうになったわ」
「すみません」
「もし子供が真似をして親御さんとトラブルになったらどうするおつもり?あぁやだわ、うちの園で揉め事なんて恐ろしい。もう少し " 女性らしく " 出来ないかしら」
「あ、いや。子供がトラックの前に飛び出して行ったので、呼び止めようとつい」
「言い訳は良いのよ!結果は後日電話でお伝えしますから。もう帰ってちょうだい」
最後は物凄い勢いで締め出されてしまい、アタシはしばらく開いた口が塞がらない思いで居た
聴覚を遮断したくなるような園長先生の声を駅のホームで思い出し、げんなりと肩を落としていると、後ろから誰かに肩峰を啄かれる
「Aちゃん」
そうアタシをヴェールに包んだような柔らかい声で呼ぶ彼女は、意外な人物だった
「おお。有希子ちゃんか!」
「髪色が黒くなっていたからビックリしちゃった。お仕事帰り?」
同級生に指摘されたものを目で追い、あ〜これか、とパリパリとした触覚の髪の毛を指先で触る
「実は今日保育園に面接行って来てさ。一時的に黒髪スプレーしてんだよ。どうせ内定は・・・・・・」
「ダメだろうけど」
そう言い掛けた言葉がどこかに攫われた
有希子ちゃんの風に靡かれた絹糸のような美髪と、ナチュラルメイクによって際立った尊顔が視界に飛び込んで来て、思わず息を飲む
(こういう人が女性らしいって言うんだろな)
「うん?」
「今日もお美しいな」
「そんなこと無いよ」
「だって髪サラッサラだし。メイクもナチュラルだけど、手抜き感は一切無くてさ。あ、美人なのは大前提な」
「Aちゃんに言われるとなんだか照れるな」
「いや反応も可愛いんかい。なぁ、その洋服ってどこの・・・・・・」
「いやぁ、お姉ちゃん超べっぴんさんだね〜」
アタシの声と被さって横から声が聞こえてきたかと思えば、見知らぬ歳の離れた男性が有希子ちゃんに近寄っていた
・
80人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時