アルコール66% (モブ視点) ページ22
・
開かれた応接室の扉の向こうに、割印の押された契約書が朱肉が乾き切るのを待っている様子が見える
扉の出口付近では、すっかり機嫌の良くなった年老いた外国人と僕の上司が硬い握手を契っていたもので、その光景に呆気を取られていた
「
「
先程まで眉を釣って激怒していた来客を、いとも容易く穏やかな表情に変貌させた上司に、圧巻の拍手を送りたい気分だ
(すごい。この外国人、最初会った時は日本の経済産業省はダメだとか喚いてたのにな)
ましてや今回は謝罪をするだけの筈が、いつの間にか懐に入ってしれっと契約も交わしてしまう始末
難しい商談かつ、自分の専門では無い中での業績は、すぐに赤羽さんの評価になることだろう、と強く思った
(ただ、結果的に国際課の手柄を横取りした感じになったけど。そこだけが気がかりだな)
来客が受付の女性に出口へ案内されて帰って行く様を見送って、そんなことを考えながら彼に話し掛ける
「クレーム対応お疲れ様です。あんなに怒ってたのによく契約に同意してくれたましたね」
「いや、普通に良い人だったよ。国際課の奴らに差別用語を使われたんだってさ。自分の国貶されたら、そりゃあ怒るよね」
「そうでしたか」
「うっわ。もう会議の時間じゃん。ごめん。資料用意出来てる?」
「あ、はい」
小脇に抱えていた会議資料を手渡すと休む暇もなく、行ってくるね、と彼は歩き出した
(え)
「赤羽さん次は昼休憩です」
「30秒もあれば上出来でしょ」
どこかから取り出したエネルギーチャージゼリーを片手に、貴重な休息時間を惜しむこと無く、上司は移動しながら昼食を手短に済ませようとする
(この人、今日は22時頃までスケジュールびっしりなの分かって言ってる?)
「お言葉ですが、ここから休憩予定無いですよ」
「大丈夫だって。人間って食べなくても2週間は生きていけるらしいじゃん。これくらい平気平気」
(本当に僕と同じ " 人 " ですか?)
鬼たる第三の理由がこの超人さだ
底なしのバイタリティ、首席で東杏大学を卒業し現役で経済産業省に内定できてしまうその明晰な頭脳
顔立ちも文句の付け所が無い程端麗で、おまけに身長が185センチもあるのは少し与えすぎでは無いか神様よ
この人は何でも簡単に手に入れることが出来るのだろう、と僕は勝手に思っていた
・
80人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時