アルコール62% ページ18
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「はぁ」
そう深い溜息を吐いて、アタシは木製のカウンターに重たい頭を突っ伏した
横の椅子には、日本酒のロックをしっぽりと飲みながら、物静かに酔いを堪能している業が座っていた
「何落ち込んでんの」
「うるせぇ。放っといてくれ」
躍起になって棘を刺すように呟いたそれと同時に、アタシの耳に残る悠馬の声が木霊する
「いやいや。Aさんに失礼だろう。ごめんな変な話に巻き込んで」
あの瞬間、顔色を一つも変えずに言い放った彼の言葉は、死刑宣告に思えた
削り取るように胸が掻き毟られ、何も行動を起こす気になれないだるい身体
(完全に脈ナシだ)
彼は誰に対しても紳士な人なのに、それを忘れて盲目になって淡い期待をし続けたアタシの中に残っていたのは ── ピークを迎えた酔いだった
大方のクラスメイトが立ち退いた後の店には、空のジョッキや料理皿などの下げ物が大量に存在していて、視界に入れるだけでも億劫になる
「ほら前原。いつまでも寝てないで帰るぞ。迷惑になるだろ」
テーブル席で泥酔している前原に、肩を貸して立ち起こす彼がそう言った
「磯貝も二次会行こうぜ〜」
「行かないよ。片付けをAさん一人に押し付けられない」
嬉しい筈の気遣いも、今は二日酔いになったかのようにとても気分が悪いものになっている
" 一緒に居たくない "
こんなことを彼に思うのは初めてだった
「前原、連れて行って良いぞ。アタシ、後片付けはこいつとやるから」
そう言って隣に居る業の服の袖を藁にもすがる思いで引っ張ると、怪訝そうな顔を向けられた
「え〜、俺が？面倒くさいんだけど」
「お願い。アタシを置いて帰らないで。お前しか頼れる人いないんだから」
胸が引き千切れそうな思いになっているもので、相当酷い顔をしている自覚がある
熱くなった目頭で彼に懇願をすると、ガシガシと頭を掻いて少し困った様子で承諾をしていた
「ああもう。分かったよ」
「ありがと」
「ほら。左右田も業も、ああ言ってくれてるし。磯貝いないと収拾付かなくなるから行くぞ」
「仕方が無いな。悪いな二人とも」
「全然大丈夫。皆でカラオケ楽しんでな」
外へと繋がるガラス戸に向かって歩いて行く彼らが、アタシには甚だスローモーションに見えた
やがて最後のお客様が退店して行ったのを、無理やり取り繕った笑顔で見送ると、糸が切れたように何かが溢れ出てきた
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます！イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです！ (4月18日 12時) (
レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください！ (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです！！🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります！ (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです！ (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しがない物書き | 作成日時：2023年12月20日 3時
