アルコール61% ページ17
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(アタシこの手の話、不得意なんだよな。注文取って早くここから立ち去ろう)
オーダーを取ろうとして一度インク部分を出したボールペンを、無意識にカチカチ、と何度か煽る
「さ、さぁ。今は皆仕事で忙しいからな〜。
・・・・・・皆さんご注文は?」
「磯貝とか早そうじゃない〜?」
「うぐ」
「あ〜!確かに。それに家事手伝ってくれそうだよね」
(えぇ・・・・・・)
こちらの思惑とは逆方向に話が盛り上がって行き、楽しそうな彼女達をどうすることも出来ず困り果てた
おまけに意中の彼が話題に上がってしまい、とりわけ嫌な予感がしている
そしてこう言う時の勘は大体当たるものなのだ
「ね。磯貝の理想の結婚相手聞いてみようよ。左右田ちゃんも気になるでしょ」
「へ」
「おーい。磯貝かもーん」
「え?!ちょっと莉桜ちゃん!」
思い掛けない彼女の行動により、アタシの頭の中は一気にパニック状態になった
(結婚相手?!その返答次第では脈アリかどうか分かっちまうってば!)
「呼んだか?」
別卓に居た何も知らない彼は、平然とした表情でアタシの横に立って来て、それとは対照的に自分の心臓は拍数がおかしいくらいに乱れていた
「ア、アタシちょっとトイレに」
「逃げない逃げない」
そう言った莉桜ちゃんに黒いシャツの背中部分を引っ張られ、アタシは無理やりこの場に拘束されてしまう
目視で分かる程、大量に汗が吹き出して来て、彼の顔を少しも見ることが出来なかった
「磯貝の理想の結婚相手教えてよ」
それを聞いて徐々に頬が赤らんでいく
「何でそんな話になってるんだよ」
「良いじゃん良いじゃん。酒の肴にはこういう話が一番面白いでしょ。左右田ちゃんも知りたいってさ」
「・・・・・・え!?」
「それが答えにくいなら、左右田ちゃんの印象でも良いよん」
莉桜ちゃんの声が聞こえる度に、ドギマギと気が気では無くなるアタシを余所に ── そうだなぁ、と彼は真剣な顔付きでこちらを見詰めた
「Aさんは良いお嫁さんになりそうだよな。厨房でテキパキ動いててさ。今日一緒に仕事して手際良いなって思ったよ。それに元気だから、家庭が明るくなりそうだな」
「・・・・・・ウッス」
アタシは頼りない小さな面積のメモ帳で、真っ赤になった顔を隠した
「「キャー!!」」
「うりうり〜。磯貝、もう左右田ちゃんを嫁にしちゃえ」
「いやいや。Aさんに失礼だろう。ごめんな変な話に巻き込んで」
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時