アルコール59% ページ15
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「あーあ。お前のせいで悠馬が行ってしまった。せっかく二人きりだったのに」
不貞腐れた顔でビールサーバーのレバーを捻りながら、アタシは遠くにある悠馬の背中をもどかしく思っていた
邪魔立てをして来た当人はと言うと、すっかり機嫌を戻してアタシの真隣でケロ、としているもので、その自由奔放さに呆れてしまう
「ごめんごめん。お手頃な遊び相手居ないと俺も暇でさ」
「誰がお手頃だ。ぶち殺す」
「Aって相当、磯貝のこと好きだよね。近くで見てるとよく分かるよ」
「・・・・・・急に恥ずかしいこと言うの辞めろ」
他人に恋愛感情を見抜かれる以上に穴があったら入りたいと言う気持ちになることがあるだろうか
微熱を帯びた頬を無意識に掻いていると、その様子を彼に目敏く見られていた
「ねぇ、あいつのどこが良いの」
「え。それ今聞く?」
「まぁ、顔も中身も良いのは認めるよ。でもなーんかお堅いっていうかさ。磯貝と居ると、どうもAらしくないよね。俺はいつも通り暴れ回ってる方が好きだけど」
「いやお前の好みとか知るか」
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訝しい煙がこもって視界が悪い厨房
使い古された焦げ付きのある炉端焼き器の上には、冷蔵庫から取り出された仕込みの焼き鳥串が一列に並んで焼かれていた
目に入ってくる白い煙が痛いものでしぱしぱ、と瞬きをしながら、焼き鳥用コンロの前に立ち続けているとあれ、と悠馬の声が聞こえてくる
「これはどうしたんだ」
アタシが見上げた先には、眼鏡のフレームを上げる仕草をする彼が映っていて ── 絵に書いたような色男に思わず胸が高なる
「調理の時は曇っちまうから外すんだ。やっぱり眼鏡してる方がアタシって感じだよな。自分でも違和感あるし」
「いや、綺麗だよ。勿論両方とも」
「へ?」
裏返った間抜けな声が出た
(今 、何つった?)
炭火焼きグリルに並べられたつくねは、じゅうぅぅ、と勢いよく音を立てていて、アタシはしばらくそこから動くことが出来なかった
「あ!Aさん!手元手元!」
「え?・・・・・・ああッ!」
目先を見ると、同じ面を長時間熱せられたつくねが黒くなっていて、焦げ臭いが漂っていた
アタシが大声を上げたのと同時に、ホールからは寺坂の叫び声が響く
「業ぁぁ!俺の酒に何入れたんだよ!」
「あ、気が付いた?ワサビで味付けしてあげたんだよ。ワサビールってね」
「ふざけるな!」
なんだか飲み会らしくなって来た
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時