アルコール58% ページ14
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アルバイト先の居酒屋はいつの間にかクラスメイトで溢れ返っていて、続々と来店する彼らを案内しては、お冷を注いで回っていた
同窓会と言うよりは普段の営業に近い動きをしていると気が付いた頃には、ピッチャーの中は既に空だった
(次は26人分のオーダーを取らねば)
浄水器の水を注ぎながらそんなことを考えていると、ひょいと横からそれを奪われてしまう
(え)
そのまま視線を辿ると、悠馬が優しくこちらに向けて笑みを浮かべていた
「そこの一生懸命な店員さん。俺、喫茶店の経験があるからオーダー取って来ても良いかな」
「あ、ありがと」
「どういたしまして。それじゃあ行って来るな」
「ウッス」※訳:行ってらっしゃい
彼に言われるがままに仕事を明け渡したアタシは、厨房に一人取り残される
(なんてスマートな奴)
悠馬と一緒に仕事をすると、こんな感じなのだろうか
憧れの背中を熱の篭った目線で追い掛けて惚けていていると、真隣から面白く無さそうな業の声が聞こえてきた
「随分とご機嫌が良いみたいで」
「うわ!?急に話し掛けて来んなよ。びっくりするだろ!」
「いや、ずっと居たけど。ニヤケて気が付かなかったのはそっちでしょ」
「はぁ!?アタシ、ニヤケてなんか無ぇ!」
「まるで " 磯貝と二人で店の切り盛りしてるみたい " とか思った?」
仏頂面で話す彼の言葉が図星だったアタシは、顔から火を吹いてしまう
「アホらしい」
「〜っ!お前!何しに来たんだよ!」
「別に〜?」
揶揄れた恥ずかしさから涙目になって彼を睨む
業の背後ではオーダーを取った悠馬が厨房に戻って来ていて、赤髪の彼を挟んで目が合った
「Aさん。全員ビールでOKだって。入れるの手伝うな」
「あ、ありがと」
(今の聞かれて無いよな?)
このまま彼の方を向いてしまうと火照った頬が更に熱くなる ── と確信したもので、整った横顔を盗み見るように頻りに確認する
(感付かれてたらどうしよう)
空のままのビールジョッキを片手に持っていると、突如横から腕が伸びて来てアタシの頬を摘んだ
「気持ちの悪い顔」
「あ?」
「馬鹿じゃないの。見過ぎでしょ」
そう言った業は悠馬に牽制をするかのように、アタシの肩に腕を組んでくる
「磯貝。ここは俺とAの二人でやるから。他当たってくれる?」
「そうか!それじゃあ仲良しコンビで頼むな!」
「え」
「はーい」
(アタシの気持ち知ってて何で邪魔するんだ)
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです! (4月18日 12時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください! (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです!!🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります! (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しがない物書き | 作成日時:2023年12月20日 3時