アルコール56% ページ12
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彼を見ているとキュウ、と胸の奥が縮こまった
スーツを着用したままというところから、まだ仕事で忙しい時間帯の筈なのに、アタシ一人に準備をさせまいと切り上げて来てくれたのがすぐに分かった
(優しい奴)
特別に向けてくれた懇篤に、喉元まで想いが込み上げてくる
(こういうところが良いんだよな)
「ありがと。でも店外の準備はこれで終わりなんだ。さっさと片しちゃうわ」
そう言って暖簾掛けに棒を引っかけようとすると、パッ、と肩が軽くなったもので、たちまち疑問が生まれる
(あれ。何で)
振り返った5センチ先には、彼の整った顔立ちがあった
その至近距離を保ったまま、アタシの耳の後ろで囁くように優しい声を出す
「女の子に重たい物担がせてごめんな」
(ぎゃああ！)
──
────
──
真っ赤に火照った顔を自覚してしまい、悠馬から逃げるようにアタシは店内のテーブルをダスターで拭き上げていた
彼と居ると心臓がいくつあっても足りない思いになる
とりあえず収まれ、と黙々と作業を進めていると、真横に悠馬がやって来た
「Aさん。拭き上げなら俺も一緒に」
「い、良いって良いって！」
大量に汗が吹き出してきた
顔を上手く見れずに力を入れて擦っていると、その勢いに任せてセットしてあったビールジョッキに腕が当たった
(やべっ)
重心がズレてぐらつくガラス製のそれが、地面に落下する想像をすると一気に血の気が引いて行く
(落としたら終わる)
慌てて腕を伸ばすと、アタシと同じことを考えていたのか、横からもう一本の腕が伸びて来て同時にビールジョッキを掴んでいた
それも ── 彼の硬い手に包み込まれるような形で
「危なかったな。Aさんが怪我しなくて良かったよ」
彼に握られた手に目線が行き、一気に体温が上がる
「あ。お、お前。手、手！」
「あ、ごめん。不快だったよな」
「い、いやいや！全然不快じゃない！不快じゃないけど！」
こちらとしてはそれどころでは無いのだ
早鐘を打つように乱れまくる心拍数のせいで状況の整理が付かず、お礼を言うのもままならない
しどろもどろになりながら、とにかく身体を動かそうと拭き上げを再開すると、視界が狭くなったアタシの不注意でゴツン、とまたグラスに手が当たる
「ああっ」
「こらこら。お転婆さん。そろそろ俺のこと頼りにして貰えませんか？」
そう言ってビールジョッキを受け取った彼はこちらを見て優しく笑っていた
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しがない物書き(プロフ) - ゆあさん» 嬉しいご感想ありがとうございます！イケメン委員長がしっかりイケメン委員長していたようで良かったです✨️よろしければこの先もご覧くださると幸いです！ (4月18日 12時) (
レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 磯貝くんのイケメン度が忠実に再現されてて、好きです。更新頑張ってください！ (4月17日 23時) (レス) @page43 id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
しがない物書き(プロフ) - たにさん» コメント嬉しいです！！🤤 たに様のメッセージで筆が乗ります！ (3月25日 18時) (レス) id: be0c646a52 (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです！ (3月25日 13時) (レス) @page38 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しがない物書き | 作成日時：2023年12月20日 3時
