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暗闇にうつる青白い光 ページ44

息を切らしながら、私はただ一つの場所を目指して走る。


俥を使った方がずっと早いだろう。けれど、それすらももどかしく感じてしまう。


着崩れ始めた着物も、乱れた髪も、荒い息も、すべてがどうでもいい。


怖くて怖くて仕方がない。


どれだけ走っても、どんなに芽衣の名前を呼んでも、芽衣に追いつけないような気がして。


――――芽衣、帰ろうとしないで。








A 「っ、はぁ、はぁ……」









ようやくたどり着いた頃には、もう歩くのもやっとなくらいフラフラになっていた。


休みたくて仕方がない。けれど、休んでしまったらもう動けないだろう。


私は無理やり足を動かし、奥へと突き進む。


ここは、日比谷公園。


昼間とは違い、もう薄暗いこの時間帯での日比谷公園は正直不気味だった。


この道が果てしなく続いてゆきそう、そんな錯覚に陥ってしまいそうで恐怖を覚える。


外灯もなく、人の気配もない。もちろん物音ひとつしない。


……人の気配がしないということは、芽衣はここにきていないということ?


そう疑問に思って俯くと同時に、視界にボウッと鈍い光が映り込んできた。


顔を上げるといつの間にか青白い光をまとう黒猫が私を見上げていた。








A 「もしかして、春草さんの……?」








丁度良い、現代へ帰る前に約束が果たせそうだ。そう思って捕まえようと手をのばす。


黒猫は気怠げに鳴き声を上げると、私の手を避けるようにゆっくり走り始めた。


まるでついてこいと言わんばかりにチラチラ私を見てくるので、重たい足に鞭をうち、走り始める。





しばらく走ると知らぬ間に黒猫が消えていた。


えっ、うそ!? 消えちゃったら私がアナタを追いかけた意味ないじゃん!!


もういない黒猫に対して不満を心の中で漏らす。


ふぅ、とため息をついてそろそろ限界を迎えた自分の足を休めたいと思い、ぐるりとあたりを見回す。


そして、重大なことに気づいた。


ヤバい……。もうここがどこなのかわからなくなった。


黒猫についてきただけで、私はもともと日比谷公園の地形を知っているわけではなかった。


薄暗さも本格的に暗くなり始め、あたりは真っ暗。


とにかく引き返そう。そう思って後ろを向くと、視界の隅にうつる青白い光。


黒猫? 戻ってきてくれたの?


そちらに視線を向けると、そこにいたのはエリスさん。


エリスさんは、片方の手で手招き、片方の手の指で下を指していてた。

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回線弱者 - 全私が泣きました。すんばらしい作品をありがとう!!! (2022年9月19日 2時) (レス) @page49 id: eb5a8abbe9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - ヤバいです、すごい感動しすぎて涙が出てきます。そして、とても面白かったです!!この作品が読めてほんとに幸せです!ありがとうございます、これからの作品も頑張ってください!! (2016年3月23日 3時) (レス) id: e28c1496ea (このIDを非表示/違反報告)
優瀬(プロフ) - 猫柚さん» えっ、えっ……!!私なんかの作品でお役に立てたのなら本当に嬉しいです!!いえ、私なんか本当にまだまだです。もっと上手な描写ができればよいのですがね(汗)褒め殺し&心温まるコメント本当にありがとうございました! (2015年12月31日 22時) (レス) id: 11e52471f4 (このIDを非表示/違反報告)
優瀬(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます!!私なんかの拙い文章で少しで月夜様に感動していただけたのなら、私はもう大満足です。本当にありがとうございます^ ^ (2015年12月31日 22時) (レス) id: 11e52471f4 (このIDを非表示/違反報告)
猫柚(続き) - とても読むのが楽しかったです!とても感動する素晴らしいお話を作れるその才能に憧れます!最後になりましたが、このような素晴らしい作品を作ってくださり、本当に、本っ当に、ありがとうございました!これからも執筆活動頑張ってください、応援しております! (2015年12月30日 19時) (レス) id: 04feb784ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふぃあ | 作成日時:2015年9月5日 14時

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