【明治東京恋伽】芽衣の妹はおいていかれたようですよ？

縁日 ページ42

森 「今日の縁日には行くだろう？」


A 「え、今日って縁日なんですか？」








現代に帰る日である今日、最後の朝餉を食べている最中。


鴎外さんはふと思い出したように聞いてきた。お箸で人をささないでください。


……縁日か。今日はさっさと出かけるふりして現代に帰ろうかと思ったんだけどなぁ。


なんて強がりを思ってみても、やっぱり2人と一緒に最後に楽しい時間を過ごしたいという欲望にはかなわない。


縁日から帰ってきて、縁日会場に忘れ物をしたとでも言ってその時に現代に帰ろう。


制服もカバンもちゃんと持ってね。








森 「もちろんAも行くだろう？」


A 「はい」


菱田 「君、縁日とか好きなの？」


A 「好きというか……。よく芽衣に振り回されてます」


菱田 「あー。食べ物買ってくれーとか？」


A 「それですそれ」


森 「おそらく、泉くんたちも来るだろう。会えるといいね」


A 「はい！」









と言ったものの、正直会いたくなかった。


だって、芽衣に会うなんて帰りたくなくなっちゃうだけだもん。


でも泉さんと川上さんには会いたいかな。


芽衣をお願いします、なんてお願いしたい。









森 「混んでいると思うから、今日は僕たちから離れないように」


A 「え、そんな子供じゃあるまいし」


菱田 「別に君が迷子になって物の怪にでも襲われたいなら勝手にすればいいけど」


A 「怖いこと言わないでくださいよ……。わかりました、一緒にいますよ」







ということは、忘れ物をしたって言いわけしたらついてきそうだな……。


……というか、本当にチャーリーさんとやらは私を現代に帰してくれるのだろうか。


なんかすごく不安になってきたんだけど。









菱田 「なにその不安そうな顔」


A 「あ、いや、エリスさんたち見つからなかったらどうしようかなー、なんて……」


森 「なに、心配ない。きっと帰ってきてくれるよ」


菱田 「どこから湧いてくる自信ですかそれ」








とりあえずまぁ、チャーリーさんには意地でも帰らせるからいいとして。


エリスさんと黒猫の件……。本当に申し訳ないなぁ。


せめて、見つけて帰りたかった。


結局私がこの明治時代に来た意味はなんだったのだろうか。


芽衣の巻き沿いとかだったら、本当に最悪だよね。


こんなに辛い別れをしないといけないんだから。

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