見つけて【ONEPIECE】 (ページ5)

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悲しいというより呆れと何度目かの諦めの精神が徐々に勝ってきたことでくそでかため息が出てしまった。
その時視界の端で前の席の子がビクッと体を動かしたのをとらえた。
…なんかごめん
こんな迷惑野郎になるつもりはなかったのだが、体質上(？)成らざるおえなかった。
畜生、神様がいるならマジで恨んでやる

悶々といるのかわからない神様に向かって恨みつらみを心の中で吐き捨てているとふと、とあることを思い出した

そういえば

『今日は、単行本の発売日…！』

一瞬で恨みは消え、思い出した至福に脳は埋め尽くされていく。単純とかいうんじゃない、自覚はある。
楽しみにしていた漫画の単行本の発売日で、これを目的に生きているといっても過言ではない。

『うへへへ』

ニマニマとうれしさを前面に出しながら早く放課後になってほしいものだと待ちきれないようすで机にふっつぷしていた

前の席の人「ビクっっ…っ……!?!?!?!?」

『あ、ごめん』

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待ちに待った放課後を迎えればクラスメイトはバラバラに散っていく。

部活だー、と張り切っている男子や、放課後どこに遊びに行くのか話し合っている女子、早々に荷物を片付け教室を去るものもいた。

自身も、いつものように帰りの支度をし教室を出ることにした。荷物をカバンに入れながら、いつもカバンに忍ばせているお気に入りの飴玉をなめる。

ちなみに味はレモン味。レモン単体はあんなに酸っぱいのに飴って面白いほど甘いよね。荷物も詰め終わり視線を上げるとまだカバンの残った前の席があった。

『本当、毎回申し訳ない…』

影が薄いからといっても、存在が全くなくなって、そこにいないように感じられる体質とか一体どういうことなのか説明のほしいところだが、あいにく生まれつきなんですとしか言えないし、むしろこっちが説明を受けたいぐらいだ。そんな人間の前の席になるとは思ってもいなかっただろうな。私もそっちの立場ならそう思う。

そう考えると徐々に罪悪感が芽生えてくる。

申し訳程度に、レモン味の飴玉1つと『いつも驚かせてごめんなさい』と書いた付箋をその席に張っておいた。