yesなら一回、noなら二回。 ページ3
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結局その日は一日中保健室で過ごした。
保健室は衛生的で、基本的には静かで、落ちつく。
涙の跡が乾いた頃、目を覚ましたらスマホの時間は意識を手放す前から一時間ほど経っていた。
( 寝ちゃってたんや...。)
鞄からペットボトルを出して、一口飲むとフッと息をついた。
ひどく喉が渇いていた。
「せんせー」
しばらくして、課題をしているとそんな声が保健室に響き渡って、ビクッと体が拒否反応を起こした。
そのせいで、持っていたスマホがベッドの下に音を立てて落ちる。
「誰かおるん?」
どうやら先生は居ないらしく、男子生徒は物音がした僕のベッドに近づいて来た。
カーテンは閉まってるけど、僕は慌てて寝る前に外した耳栓を掴んで頭から布団を被った。
「あのー...もしかして寝てますか?」
遠慮がちに聞こえてきた声は、先ほどよりはトーンが落ちて嫌に感じるものではなかった。
さっきも突然でびっくりしただけで、特に大きい声やったわけでもなかったので、僕は起きていることを告げる為、カーテンを揺らした。
「あ、起きてはいるんや笑 じゃあじゃあ僕の質問にyesなら一回、noなら二回カーテン揺らしてもらえます?」
《 ユラっ... 》
「んふふ笑 yesやな」
お互い顔が見えない、何年生かも、僕は下手したら相手の人は性別さえわかってない、そんな奇妙な会話が始まった。
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カーテン越しの会話はじれったい。→←聴覚なんていらんかった。
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智音 - 了解です!楽しみに待ってますね♪ (2018年10月5日 1時) (レス) id: 50152d3859 (このIDを非表示/違反報告)
智音 - 最初は題名に惹かれて覗いたんですがとても興味深い作品だなって思います。更新楽しみに待ってます。 (2018年8月4日 20時) (レス) id: 50152d3859 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙 - ソラ -(プロフ) - 僕も大きい音が小さい時から怖いです。でも、家族はただビビりやと思ってる。本当に怖いのに。だから、こうやってお話にしてくれるってすごく嬉しいです。こういう人がいるってことをもっと多くの人に知ってもらいたい。 (2018年7月9日 21時) (レス) id: 731ef0547d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 本当に素敵なお話。最後まで読みたいです。 (2018年7月1日 7時) (レス) id: c2b8ec0f7f (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続き、楽しみにしています。 (2018年6月16日 15時) (レス) id: f5b192b4ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えな x他1人 | 作成日時:2018年3月8日 1時