第二章 白雨。 ページ6
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多分数分だろう。先生がぱっと顔を上げた。
机に伏せた状態で寝ていたせいか、いつも長い前髪が乱れていて、先生の顔がはっきり見える。
眼鏡を外した先生の瞳は、なんだか昨日の雨の日を思い出させるかのようで、
また胸が可笑しい音を立てた。
目が見えないのか、手探り状態で眼鏡を探す先生が面白くて、少し笑いながら眼鏡を渡した。
ようやく意識がはっきりとしてきたのか、
「..あ、山田くん、テキスト大丈夫だった？」
「..はい、なんとか終わりました」
「..そっか。よかった」
と言いながら、柔らかな微笑みを浮かべる先生。
そういえば、先生の笑顔初めて見た気がする。
「..えっと、何かありましたか？」
このまま先生に感情を振り回される訳にはいかないので、早速本題を切り出した。
「そうだったね、えっと昨日、傘ありがとね。すごく助かった。でも、俺のせいで山田くん、風邪引いちゃったから申し訳なくて....辛そうにしてたからさ。ごめんね」
やっぱり、俺の推測通り昨日のことに関してだった。
あれは、俺が勝手にやったことだから、申し訳なく思わなくてもいいのに。
「...あれは、俺が勝手にやったことなんで、謝らなくてもいいですよ。手助けになれたんなら、良かったです。」
「....ふふっ。山田くんって、優しいんだね」
笑うと更に強調されるぷっくりとした涙袋
柔らかい声
先生の全てに心臓が締め付けられる。
何だか見てはいけない、これ以上見たら危険だと脳が信号を出しているようだ。
あっ、そうだ、とかなんとか言いながら理科室の倉庫の中から俺の傘を持ってきてくれた。
「今日はちゃんと折りたたみ傘、持ってきたから大丈夫だよ、ありがとう」
鞄からは、紺色の折りたたみ傘が先生の手によって出てきた。
「....良かったです。風邪ひかないようにして下さいね？」
「うん、ありがとう。山田くんもゆっくり寝て休んで風邪治してね。じゃあ、気をつけて。」
「はい。先生もお気をつけて。」
理科室の扉を閉める。
数十秒後、思わずその場で、しゃがみこんでしまった。
勿論、風邪が悪化して立てなくなったんじゃない。
自然と手が伸びたのは、
今もなお、煩く音を立てている心臓だった。
いつまでもこうしている訳にはいかないので、理解できない脳内を整理しようと走って昇降口まで向かった。
外を覗くと、やっぱり今日も雨。
でも、今日の雨はなんだか特別に感じた。
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konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな！ (2020年3月15日 21時) (
レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん！！！コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....！！ こちらも早め早めの投稿を心がけます！^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです！複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの？雨なの？どっちなんだい！笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい！よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ！！またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：konokuro | 作成日時：2019年6月22日 23時
