ざあざあ。 ページ16
.
「....山田くんと俺....一緒に食べたかったからさ...?」
あぁ、もうなんてこの人は。
どこまで俺を。
「....じゃあ、早く食べましょ!お腹空いたし..!」
大してカッコつける訳でもなく、かといって冷静に対応できなかったことは許してほしい。
だって、可愛かったんだもん。
待ってる間、先生がそんなことを考えてたなんて。
俺だけを、考えてくれていた。
そう都合よく解釈してみれば、
本当にそう思ってたんじゃないかなんていう、しょうもない期待が出てきたから、ため息が出た。
俺はなんて欲深いんだ。
頭はこんなに、先生のことでいっぱいなのに、
体は手慣れた手つきで、弁当を包んである風呂敷の結び目を解く。
「.....もう、すっかり夏だね」
セミの鳴き声も聞こえるし、なんて微笑む先生。
学校内ではクールビズが始まっている期間。
シャツのボタンを外しているからか、白い首が良く見える。
そこに伝う一筋の汗。
なんだか色っぽく見えて、反射的に目を逸らした。
「...そうですね。今日は34度まで上がるそうですよ?」
「34度!?少し前までは、雨が降ってたのに...なんか変な感じ。」
目を丸くさせて驚く先生。
可愛いな。
そのあと、ほんのりと顔を赤くさせた。
暑いのかな?
気になって聞いてみた。
「顔赤いですけど、暑いですか?」
「...へ?...あ、いや..?..そ、そうだねぇ..!」
明らかに動揺している先生。
何があったんだろう。
「...なか、入りましょうか?」
本当は先生と二人きりがいいけれど、熱中症にでもなったらと考えると心配で仕方がない。
そうと決まればいざ行動。
半分くらい残った弁当の蓋を閉めて、ベンチから立つと、
ワイシャツの裾を柔く引っ張られた。
「...先生..?」
「....えっと、...暑くないから、まだここに居よう?...あぁ、もう!..違う、違う。」
「...や、山田くんともっと一緒に居たいから、行かないで?」
「....え...」
「...なぁんて、言ってみちゃったりして....」
と、へらっと笑って見せる先生。
いきなりの衝撃発言に頭が働かない。
俺と、一緒に居たい....
嘘だろ...?これは夢なのか?
慌てて頬をつねるも、痛いものは痛い。
じんじんと後からしてくるこの鈍い感覚は、どう脳内変換しても現実だ。
先生を見ると、下を俯きながら弁当を入れる巾着をぎゅっと握っている。
その手にそっと触れると、先生の肩がぴくっと反応し、ゆっくりと上を向いた。
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな! (2020年3月15日 21時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん!!!コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....!! こちらも早め早めの投稿を心がけます!^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです!複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの?雨なの?どっちなんだい!笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい!よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ!!またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:konokuro | 作成日時:2019年6月22日 23時