第四章 黒雨。 ページ15
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あの日から俺は徐々に先生と距離を縮めていくことにした。
といっても、そんな大したことではないけれど。
例えば、空き時間に先生と世間話をした。
先生の誕生日や、先生の好きな食べ物、先生の好きな歌手、先生の好きな本。
それはそれは、入学当初の友達づくりの話題みたいだと笑われてしまうくらいの話を。
流石に彼女だとかそういう類の話はしなかったけれど。
少し、怖かったのかも。
いるよ、なんて言われたらどうしていいか分からなくなってしまうから。
やっぱり、俺は情け者みたいだ。
どうしようもないくらいに。
。
あ、あとはお昼を二人で食べるようになった。
これは知念からの提案だった。
「いつも先生は一人で中庭のベンチで食べてるから涼介も一緒に食べなよ！」
と、有無を言わせない目でいうものだから思わず頷いてしまった。
でもおかげでかなり距離が縮まるきっかけになった。
先生はいつもお弁当で。
誰か作ってくれる人がいるのかな、なんて考えたらまた沼にはまってしまいそうだったから、隣で美味しいと微笑む姿で満足することにした。
。
ここまで仲のいい生徒はきっと俺だけだと思うし、ここまで仲のいい先生は伊野尾先生だけ。
そんな自負が多少なりとも俺にはあった。
でも相変わらず先生は俺のことを「山田くん」と呼ぶ。
もう少し欲を出すのなら、勿論違う呼び方がいいけれど「山田くん」でも別にいいと思った。
もし、涼介なんて呼ばれたら取り返しがつかなくなってしまうから。
知念に呼ばれるのと、先生に呼ばれるのは、
全くの別物だと思う。
あくまでも憶測だけど。
4校時目終了のチャイムが鳴った。
さぁ、伊野尾先生との昼食だ。
。
中庭に向かうと、既に先生はベンチに座っていた。
慌てて駆け寄ると、俺の分を空けて座っていて
なんだか心が温かく、
胸がぎゅっと締め付けられるように苦しく、
でも痛い苦しみじゃなくて。
そんな、言葉に上手く出来ない感情が渦巻いた。
別に無理して言葉にしなくてもいいのだと思うけど。
そんな感情を押さえつけて、あくまでも冷静を装って、先生の隣に座った。
先生はまだお弁当を食べていないようだった。
「先に食べてても良かったんですよ...？」
そう言うと、
先生は少し俯きながらぽそりと呟いた。
「....山田くんと俺....一緒に食べたかったからさ...？」
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konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな！ (2020年3月15日 21時) (
レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん！！！コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....！！ こちらも早め早めの投稿を心がけます！^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです！複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの？雨なの？どっちなんだい！笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい！よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ！！またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：konokuro | 作成日時：2019年6月22日 23時
