こんこん。 ページ31
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テスト期間に入った今週。
提出物がより多く出されるこの期間は俺にとって最悪だ。
やる気なんて勿論起きる気がしないし、この気持ちを共感してくれる人はテストで上位を取るばかりのクラスにはいない。
気持ちを切り替えようと廊下に出た。
「今日も、教えてくださいね?」
「えー、分かったって言ってなかった?」
「...っもう!すぐそうやっていじめるんですから!イノちゃん先生ったら!」
俺がウジウジしている間に随分と二人は距離を縮めたようだ。
イノちゃん先生、なんて彼しか呼ばない名前で。
まるで、先生の記憶に自分を入れ込むように。
自然に先生の肩に触れる彼に、呆れた顔をしながら笑いかける先生をもう、見ていられなくて。
でも先生から目を離してしまったら、その表情はホントに彼のものになってしまうから。
それが、怖くて。怖くて。
離れていかないでよ、先生。
ついていかないでよ、先生。
あの夏祭りの日に先生を独り占めしていたのは確かに自分で、あの日先生に抱き締められたのは自分で。
彼よりももっと色んな先生を知っているのは自分のはずなのに、彼のほうがずっと上に感じてしまう。
甘い香りも、ふわりと笑った顔も、
彼は知っているんだなと思うと、
胸が痛くて辛くてたまらなくなった。
全てを投げ捨ててしまえたらどれだけ楽か。
未だに二人から目を逸らすことができなくて、
そのままにしていると先生と視線が交わった。
一瞬のはずなのに、それはずっと長く感じて。
その時先生の目に影が落ちて、何かあったのかと思ったが、先生が瞬きをしたらいつもの目に戻ったので、少しの違和感には気づかないふりをした。
隣に視線を移すと彼は冷たい目で俺を見ながら、また甘えたような声と素ぶりで先生に触れた。
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その出来事から3日が経ったある日の放課後。
日直だったため、学級日誌を教室で書き終えて少し遅く教室を出た俺。
夕日に照らされる廊下や教室は何故だか特別に見えてしまうのはどうしてだろう。
昇降口に向かって歩いていると、C組から声が聞こえた。
途切れ途切れしか聞こえない声が興味をそそる。
C組に向かって足音を少し抑えながら歩く。
そこには、先生と彼、
有岡くんがいた。
☂更新遅くなってしまいすみません。
知念さん、八乙女さんお誕生日おめでとうございます(*ˊᵕˋ*)
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konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな! (2020年3月15日 21時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん!!!コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....!! こちらも早め早めの投稿を心がけます!^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです!複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの?雨なの?どっちなんだい!笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい!よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ!!またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:konokuro | 作成日時:2019年6月22日 23時