こんこん。 ページ29
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10月を迎え、まだそれこそ風は温いもののじめっとした空気ではなく、からっとした清々しいものとなっていた。
寒すぎない、暑すぎない。
曖昧なこの時期が何だかんだで好きだったりする。
相葉先生に頼まれて、仕方なく抱えているこの大量のプリント。
「....ちょっとお願いしてもいいかな...？」
なんて言うものだから、断るわけにはいかず。
まぁ、いっか。なんて軽く考えて首を縦に振ってしまった自分を、引っ張ったいてしまいたい。
目の前がプリントで見えない。
階段もひと苦労だ。
しかも紙のため、少しでもバランスを崩すものならば、ひらひらと舞ってしまう。
慎重に、慎重に。
「.....山田くん、大丈夫？」
久しぶりに呼ばれた、
その五文字。
周りの音が遠くなって、聴覚がシャットダウンされる。
それに比例して身体も固まってしまった。
あ、やばい。
反射的に前に踏み出してしまった足。
このままだと踏み外してしまう。
「....っ危ない！」
先生の声が脳の片隅で反響する。
ふわっと一瞬だけ浮いた身体。
目を瞑る。
その瞬間、先生の甘い香りに包まれた。
あの時の匂いだ。
ばさっとプリントが下に散らばる音が聞こえた。
ゆっくりと顔を上げれば、すぐ近くに先生の白い頬。
思わず手を伸ばそうとしたら、先生は俺の肩を持って引き離した。
意味を成さなかった右手を強く握りしめ、俺は何を今しようとしていたのかと我に返る。
「....だ、大丈夫だった？」
突然のアクシデントに驚いたのか、まだ動揺を隠せていない様子だった。
「....はい、助けていただいて...ありがとうございました。」
堅苦しい返事になってしまうことに、気持ち悪さを覚えたけれど、これが普通なんだと思うことにした。
「.....いえいえ。すごい大量のプリントだけど...どうしたの？」
しゃがみながらプリントを拾い集めていると、先生も一緒に拾ってくれた。
窓から差す光に、先生の髪が茶色く染まる。
その光景が余計に儚さを際立てている。
「....相葉先生に頼まれて...」
そうなんだ、と微笑みながらプリントを渡してくれた先生。
そう、こんな感じだった。
伊野尾先生との距離感は。
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konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな！ (2020年3月15日 21時) (
レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん！！！コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....！！ こちらも早め早めの投稿を心がけます！^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです！複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの？雨なの？どっちなんだい！笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい！よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ！！またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：konokuro | 作成日時：2019年6月22日 23時
