10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ35)

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きもち10 ページ35

「ふぅん、ここが君の部屋なんだね。」

雲雀に部屋を見られるのが恥ずかしく思いながらも、香桃葉はお茶を用意する。

『すみません、大したおもてなしもできないんですが…。』

「いいよ、ありがとう。お茶いただくね。」

「うん、美味しい。」

『それはよかったです。ところであの…』

意を決して、雲雀に尋ねる香桃葉。

「なんだい？」

『雲雀さんが人殺しだって、橘さんに言われたんですけど…』

「あぁ、確かに彼言ってたね。仲間を殺したって。」

『本当…なんですか？』

否定してほしい。香桃葉はそう思いながら聞いた。

「うん、まぁだいたいは合っているよ。」

『え…』

「とはいえ、直接手を下したわけではないかな。ここへ向かう途中に、彼のこといろいろ調べさせたけど、僕が管理する仕事の関係で生活が困窮して、死に向かった感じだね。」

『…じゃあ物理的に殺したわけではない…ってことですか。』

「まぁそうなるね。物理的に来ても向こうは返り討ちに合うだけだしね。」

『そうですか…よかった。』

香桃葉は安堵した。

「でも、僕の住む世界はそういう世界だってことだよ。」

『え？そういうって？』

「人の恨みも買うし、今回の君みたいに大事な人を狙われることだって日常茶飯事だ。」

大事な人…そう言われたことが、香桃葉にはなにより嬉しかった。

『風紀財団って、そんなに危ない仕事なんですか？』

「……僕の仕事は風紀財団だけじゃないからね。外国との貿易なんかも関わることだってあるし、危ない仕事につくことだってある。だからこそ、本来は君みたいなタイプの人間とは関わることはないんだ。」

『そう…なんですね。』

部屋に一瞬の沈黙が流れた。