10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ33)

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きもち8 ページ33

雲雀は何も話さずに、橘を見つめた。

「あの女がいる限り、あなたは私を殺せないだろう。いくぞ。」

橘は薙刀を雲雀に向けて刃を振り下ろした。
が、それを一瞬でよけ、トンファーで腹部を突いた。

「ゔっ…ごめん…みん…な…。」

「フン。咬み殺す価値もない。」

ほんの一瞬で、戦いはおわりを告げた。

『…雲雀さん。』

カツカツ…

雲雀は縛られている香桃葉のそばに行った。

「怖かったね。待たせてごめんよ。」

『いえ…ありがとうございます。』

香桃葉の心には、【人殺し】という言葉が気になっていた。

「どこか触られたり傷つけられたりしたかい？」

『…首だけ触られました。』

「ふぅん…。」

そう言って雲雀は、香桃葉の首筋を指でなぞった。

『んっ…！や、やめてください。』

「そんな声を出して、彼を誘惑したの？」

灰色の綺麗な瞳に、香桃葉は飲み込まれそうになりながら答えた。

『だ、出してません！誘惑もしてません！』

自分の状況が恥ずかしくなり、香桃葉は目を逸らした。

「そう。ならよかった。ほら、縄も解いたよ。」

『ありがとうございます。』

そう言って雲雀にお礼を言うと

ギュッ…

『！？』

「…よかった。」

『ひ、雲雀さん…！？』

「君が傷つけられたらと考えると…怖かったよ。」

『…すみませんでした。』

「こんな時は、謝らなくていいんだよ。まぁいい。とりあえずここを出ようか。」

そう言うと、雲雀は香桃葉をお姫様抱っこした。

『！？いや、雲雀さん、歩けます！私歩けますから！！』

「ダメだよ。さっきまで縛られてたんだ。安静にしとかないと。」

雲雀と香桃葉はヘリコプターに乗り込んだのだった。