10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ30)

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きもち5〜主人公side〜ページ30

『ん……』

目が覚めると、知らない場所にいた。
手足は拘束され動くことができない。
持っていたはずの荷物も手元にはなかった。

…ここどこ？

一気に冷や汗が出た。

「手荒な真似してごめんなさい。私も、好きで貴女を連れてきたわけじゃないんです。」

『…橘先生？』

さっきまで私と話していた同期らしい橘先生は、どうやら私を拘束した本人らしい。

「先生、どうしてここに連れてこられたか分かりますか？」

『…分かりません。心当たりもありません。』

「そうですよね…だって貴女は知らないんですもんね、あの男の本当の姿を。」

『…あの男？』

「雲雀恭弥…知らないとは言わないですよね？」

『…！？』

…え、雲雀さん？

「あの男、風紀財団で働いてるだけが仕事じゃないですよ。」

『…どういう…？』

「人殺しです。」

『え……？』

橘先生の言葉が、私の心臓をナイフで刺した。
確かに雲雀さんは不良だったけど、人を殺したなんて…

あんなに優しい雲雀さんがそんなこと、するわけない

「信じられないかもしれませんが、事実です。私の仲間も何人も彼に殺されました。いや、咬み殺されました。」

ー咬み殺すー
確かに中学生の頃から言ってたけど…けど…

『だとして、なんで私を連れてくる必要があるんですか？』

「彼の弱点だからです。」

『弱点？私が？』

「ここ数ヶ月、あなた方を見ていましたが、どうやら彼は、あなたが関係している時にはすぐに動く。だから私は仲間の敵討ちをするために、あなたを利用させてもらいます。」

そう言うと、橘先生はニヤリと笑った。