【オリジナル】「先生、消毒して。」

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その日からだった

毎日のように
この子は俺を求める様になった

俺もこれを望んだはずなのに
違う






『せん、せ…っすき…ぁ』






そして決まって"好き"と言ってくるようになった

俺も好きだよ、なんて言えたら
どんなに楽なことか


ただ彼の頭を撫でて
気持ちよくさせてあげることしか出来ない

愛し合っているのに
愛のない行為を繰り返して
彼を辛く､苦しくさせる

自分は情けないと思う

でも
彼を捨てる、という選択肢はなかった


何でここの先生なんかやってるんだろう
こんな筈じゃ無かったのに

脳味噌の中をグルグルと
沢山の言葉が埋めて溢れていく


どうして俺は…






『ちょ、痛っ…ぁ"…っ』

「っ…ごめん、な」






力が入りすぎた

彼の目には純粋な涙が浮かんでいる

罪悪感が俺を支配して
どうにかなりそうだった


何故今になってこんな感情を吐き出そうとしている
何故今まで抑えてきた感情を露わにする

こんなに歪んだ愛を与えようとしたんじゃない


でも、もう遅い






『…っは、ぁ"…はぁ、はぁっ…』






グッとひと押しすると
白い液体が腹を滑るのが分かった

俺も抜くとドクンと一気に出た


お決まりのキスを落として
ベッドから降りようとする

そんな俺の腕を木ノ宮くんは引っ張った






『…も、いっかい…』






いつもなら いいよ、と
また彼の上に跨っただろう

しかし今の俺はそんな気じゃなかった






「…今日はもう終わり」






返事もまともにしないで
俺の意思だけ吐き捨てて外に出る

温い風が頬を撫でた

らしくない、この言葉がぴったりだろう






「クソ、…」






地面に叩きつけるように発したのは
自分に対する言葉か
上手くいかない、上手くいかせてはいけない
実らぬ恋心に対する言葉か

大の大人が何を考えている


…戻るか



辛いのは彼の方だ




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