無理に明るくしなくても良いんだよ ページ39
JIN side
「うぅ...A本当にごめんね...！
早く起きてよ...」
Aを見るたび自分の無力さに腹が立って仕方がない。
何度病室に足を運んでも涙は涸れない。
涸れるどころか次々と湧き出てくる。
「...今日は週に1度のARMYのお手紙持ってくる日だよ...
今週も沢山心配のお手紙が...うぅ...」
長男が泣いてたらダメだって？
そんなの誰が決めたんだよ！
それに泣いてるのは病室だけだし！！
「“ずっと待ってるからね。
焦らずに頑張ってね。サランヘ♡”
うぅ...俺の弟はこんなにも愛されてるんだね...」
毎度病室でメソメソしている事に慣れたような看護婦さんは，俺なんか気にせず1日数回のAの状態チェックを始めた。
「まぁ！
ほらソクジンさん，今Aさんが動きましたよ！！」
JN「ホントですか！？」
「ホラまた！」
JN「良くなっていってるって事ですか！？」
「そうですね。
最近よく動くようですし...
私，先生呼んできますね」
パタパタ駆けて行った看護婦さんからAに視線を戻す。
「良かった...」
またじわりと視界がぼやける。
「ヤ〜...
そんな反応しなくても！」
白くてすべすべなおでこに唇を落としたら一瞬嫌そうに眉を寄せた。
「起きない癖に拒絶反応だけはするのかよ〜！
ヒョン悲しいぞ？」
A side
「うぅ...A本当にごめんね...！
早く起きてよ...」
騒がしい。
とても騒がしい。
このうるささはきっとジニヒョンだな。
病人の前なのに静かになりやしない。
ずっとずっと鼻をすすってる。
撮影とか有るだろうに目が腫れてないか心配でしょうがない。
この身体が動かない事と，喋れない事，目が開かない事に何か原因は有るのかな。
あれからどのくらい経ったのかな...
早く皆と話したいし顔を見たい。
おでこにふれた柔らかい感触にくすぐったくて眉を寄せると，どうやらヒョンは拒絶反応だと受け取ったらしい。
「起きない癖に拒絶反応だけはするのかよ〜！
ヒョン悲しいぞ？」
家ではマンネだけど，なんだかんだ俺らをまとめてくれているジニヒョン。
きっと宿舎では俺が居ない雰囲気を明るくしようとして，変なギャグで滑ってるんだろうな。
俺はまだ，目覚ませないんだからここでも無理して笑わなくても良いのに。
もっともっと泣いても良いのに。
ホント，変なトコで無理するんだから。
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 0時
