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第80話 ページ20

「えぇ。僕、他人(ひと)の匂いがとにかく苦手で、手塚さんが帰った後もすぐに消臭剤を撒いているんですが、あの人の匂いだけ気にならないんです」


「ん、、、なんの話?」


「いや大事な話です。こういった情報をAIに入力するとします。体臭は食べ物からの影響があるので、推測される食生活が割り出され、例えばカレーライスをよく食べるということがわかる。後に、犯行現場に残された繊維からスパイスの成分が確認されたとして、、、と繋がっていくわかです」


 あ、、、これ、恋してるな


「なるほど」


「ええ」


「Aちゃん、すごいニマニマしてるよ」


『え?あ、ああ。二階堂さんの話を聞いてて面白かったんで。二階堂さん、それは恋です』


「恋?」


「どーやんが黒島ちゃんを好きだから、気にならないんだよ。って事だよね?Aちゃん」


『はい』


「は?」


「例えばね、犬とかっておしりの匂いで敵か味方か判断するらしいのね。発 情する時もまず匂いからとかさ。匂いを受け入れるって、すごく本能的なことなのね」


「はぁ、、、」


「俺も、菜奈ちゃんの匂いすごい好きだったもんなぁ。抱きしめるとさ、いつもふわっとしたこう良い匂いがするのね。そんで“あー菜奈ちゃんだなぁ、幸せだなぁ”って。何回抱きしめても、また抱きしめたいって思うんだよ。今でも匂い嗅ぐとさ、笑顔とか、仕草とか、バババッて思い出すのね。だからさ、少しずつ、この部屋から、菜奈ちゃんの匂いが消えてくの怖いんだよね。、、、クローゼットなんか、いまだに開けられないもん、俺」


「、、、」


『、、、』


「だから、どーやん。そんな人に出会えるって、すごい幸せなことだよ」


「、、、」


 その日はそれでお開きになった


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以前、二階堂が主人公(夢主)の匂いを嗅いだのは黒島の匂いが付いていたからです。

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作者名:音楽ガール | 作成日時:2020年7月3日 19時

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