【8】みんなと走る、一次試験 ページ8
ジリリリリと会場内にけたたましい音が響き渡る。
顔を上げると、壁際の管の上にスーツ姿にヒゲの生えた男の人が居た。
｢ではこれよりハンター試験を開始いたします｣
その言葉に会場の空気が一瞬にして張り詰めた。
試験の開始を伝えた彼は、私達の先頭にふわっと着地しカッカッと靴を鳴らして歩み始めた。そしてそのを後を追う受験生に告げる。
ハンター試験は過酷なもので、運や実力不足によってケガをしたり死んだり再起不能になることもある。それでも構わないと言う人だけついて来るように、と。
その言葉を聞いても、誰も歩みを止めようとはしなかった。
つまり、第一次試験の参加者は404名。先程腕を切断された彼を除く全員が参加するということだ。
｢……おかしいな｣
クラピカさんが呟く。
確かにおかしい。参加の意志が確認された直後から、少しづつ周囲の動きが変わり始めた。というようも――
｢おいおい何だ？みんなやけに急いでねーか？｣
｢やはり、進むペースが段々早くなっている！｣
｢前の方が走り出したんだよ！｣
そう、初めは歩いていたのに、今では全員が前を目指して走っていた。
｢どうして突然……｣
｢申し遅れましたが、私一次試験担当のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内いたします｣
サトツさんの言葉に、受験生の中にどよめきが広がる。
｢二次……？ってことは一次は？｣
どこかからそんな声が聞こえた。
｢もう始まっているのでございます｣
｢二次試験会場まで私についてくること。これが一次試験でございます｣
薄々気付いてはいたけど、やっぱりそういうことだったらしい。
｢場所や到着時刻はお答えできません。ただ私について来ていただきます｣
どよめきはもう収まっていて、今流れているのは一人一人から発せられる緊張感だけだった。
｢これがハンター試験……｣
｢なるほどな……｣
甘く見ていた訳ではないけど、思ったよりもハードかもしれない。
｢変なテストだね｣
｢さしずめ持久力試験ってとこか。望むところだぜ、どこまでもついて行ってやる｣
ゴンくんに同意する。この試験は確かに変わってる。
レオリオさんの言うように、持久力を見るのと同時に、どのくらいの間どれだけの距離を走らなければいけないのか分からない状況、その精神的な負担に耐えられるか、そちらも同時に見られているんだろう。
改めてハンター試験の難しさを思い知り気を引き締めた。
試験はまだ始まったばかりなんだから。
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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください！ (7月8日 23時) (
レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕佐 | 作成日時：2023年6月4日 15時
