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【7】こだわりとジュース、毒耐性 ページ7

「おっとそうだ」

ヒソカの一件踏まえ、オレが色々教えてやる!と豪語したトンパさんはどこに入れていたのか、ゴソゴソと缶を取り出すと、私達に差し出してきた。

「お近付きのしるしだ。飲みなよ。ただのジュースだけど、お互いの健闘を祈ってカンパイだ」

「ありがとう!」

笑顔で言うゴンくんの手前そのまま缶を受け取る。

でも、出処が分からないおじさんの懐の中で保管されていた飲み物。それにこれ、ジュースって言ってるけど……。

「気持ちは嬉しいけど、私は遠慮しておきます。果汁100%じゃない飲み物はジュースとして飲みたくないから……」

「Aもヘンな拘りがあるんだな」

「そもそも、ジュースというのは100%果汁のことを指すからな。この缶の飲み物はその条件を――」

「れろ」

不思議そうに言うレオリオさんに、何故かクラピカさんが私の心を代弁し始めたかと思うと、それを語り終わらない内に一足先に缶に口をつけていたゴンくんがその中身を吐き出した。

「ゴンくん!?」

「トンパさん!このジュース古くなってるよ!味がヘン!」

「え!?あれ?おかしいな〜〜〜?」

とぼけた顔で答えるトンパに怒りが込み上げる。人に腐った飲み物を飲ませるなんて信じられない。

三人とも缶の中身を地面に零していたけどそれが正解だ。



私達に平謝りし、逃げるように去っていったトンパ。
妙に気になって目で追っていたけど、私の視界では流石に人混みに紛れたトンパを追うことはできなかった。

変わりに耳を澄ましてみると、話し声が聞こえてくる。

「トンパさーん!さっきのジュースもっとくれる?」

変声期前の男の子の声。ゴンくんと同い年くらいかな?

ジュースってあの古くなってた飲み物のことだろうけど、お腹は大丈夫なんだろうか。

私の心配を他所に、貰った缶を全て飲み干したらしい男の子が口を開く。

「心配?」

「「え?」」

突然の問いかけに思わずトンパとシンクロしてしまう。

「オレなら平気だよ、訓練してるから」

「毒じゃ死なない」

その発言に言葉を失う。

あのジュースがただ古いかったわけではなく毒入りだったこと、ゴンくんと同い年くらいで毒に耐性のある男の子に対する衝撃。

そしてもうひとつ。

缶を開ける音からして四本。

いくら毒が効かなくても、今そんなに飲んだら試験中トイレに行きたくなっちゃうんじゃないんだろうか。

一連の事件で、私は声しか知らない男の子のことが心配になり、トンパの株は大暴落した。

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裕佐(プロフ) - にあみるまる。さん» こんばんは、コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜( ; ; )ボード返信したので良ければ仲良くしてください! (7月8日 23時) (レス) id: 31030c7bbc (このIDを非表示/違反報告)
にあみるまる。(プロフ) - こんにちは、素敵な作品ですね。無理せずに頑張ってください、あの会話とかしたいなぁと思っていてもしよければボードでお話したいです、お返事お待ちしています。 (7月8日 21時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕佐 | 作成日時:2023年6月4日 15時

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